ら
(琉球語にラ行で始まる語はもともとは無い。ご覧の様にすべて漢語あるいは、外来語で
ある。注:助詞、助動詞は別。)
等(ら): ちゃあ。たあ。
ラード: 豚脂(ぶたあんだ)。豚油(ぶたゆ)。
来月: 他月(たつぃち)。
ライチー(果物): 茘枝(りいち)。
来年: やあん。
礼拝(らいはい): ゆつぃ御美拝(うにゅふぇえ)。御美拝(うにふぇえ)。御美拝(うに
ゅふぇえ)。御美拝(うぬふぇえ)。
癩病(らいびょう): 根気(くんち)。 ※癩病は、現在、ハンセン病と言う。
癩病患者: 根気(くんちゃ)あ。
羅宇(らう): 煙管竿(ちしりじょお)。羅宇(ろお)。 ※羅宇は、煙管(きせる)の火
皿と吸い口をつなぐ竹の管。昔は羅宇屋(らうや)と言ってこれだけを扱う商売があ
った。キセル乗車は、煙管の羅宇の部分は竹、つまり、火皿と、吸い口だけは、金(か
ね)を使っているというシャレである。
楽: 安楽(あんらく)。
楽な: 胴安(どぅうやっ)さん。為安(すぃいやっ)さん。
落胤(らくいん): 落(うとぅ)し種(だに)。 ※落胤の意味は琉球語が説明している。
楽隠居: 楽隠居(らくいんちゅ)。
落雁(らくがん): 固菓子(こおぐぁあし)。
落日: 入(い)り日(ふぃ)。
落成祝い: 首尾祝(しゅびいうぇ)え。
落胆: 気垂(ちだ)い。弦垂(つぃるだ)い。 ※つぃるだいは、琴、三線の弦が垂れ
下がっていること。
落着: 落着(だくちゃく)。落着(らくちゃく)。
らしい: ぎさん。らしゃん。
羅針盤: 唐針(からはあい)。
埒(らち): 埒(だち)。 ※らちが明かないの、らちである。
落花生(らっかせい): 地豆(じいまあみ)。
ラッキョウ(辣韭): 辣韭(だっちょお)。 ※もともと、琉球語には、ラ行で始まる言
葉はない。韓国語、日本語も同様である。この辞典のラ行の見出し語を見ればわかる
ように、すべて、漢語、あるいは、外来語である。琉球語はラ行音が苦手なようで、
らっきょうをだっちょうと言ったりする。
られる(受け身): りゆん。
ラン: 沖縄の原種のランに名護蘭(なぐらん)がある。きわめて、凛々(りり)しい花
である。
欄干(らんかん): 欄干(だんかん)。欄干(らんかん)。
乱雑: 掻(か)ち放(ほお)り。山(やま)。
乱世: 乱(みだ)り世(ゆう)。
ランプ: だんぷ。らんぷ。
乱暴: 荒(あら)ち。妨害(ぼおがい)。座蝿(ざあふぇえ)。
蘭方医(らんぽうい): 大和医者(やまとぅいしゃ)。
乱暴者: 暴(あま)い者(むん)。暴(あま)やあ。あましたむん。あんまく。まく。ん
じゃりむん。すぃてぃまく。すぃてぃむん。座蝿者(ざあふぇえむん)。
り
利: 利(でぃい)。利(りい)。
里(り): 里(り)。
利益: 益(いち)。拾得(しゅうとぅく)。
離縁する: 抜(ぬ)ちゅん。 ※籍を抜くという意味であろう。
理解する: 飲(ぬ)み込(く)ぬん。分(わ)かゆん。
陸: 上(あぎ)。 ※船が上げられるという意味か。
俚諺(りげん): 熟語(じゅくぐ)。言言葉(いくとぅば)。 ※俚諺は、民間に言い伝え
られてきたことわざ。
利口な: 意地(うじ)らあしゃん。
利口なこと: 巧(たく)ま。
利口者: 唐橋(からばし)。性入(しょおい)らあ。性入(しょおい)り者(むん)。巧
(たく)まあ。巧(たく)ま切(ち)らあ。巧(たく)ま切(ち)り者(むん)。
利子: 利(でぃい)。利(りい)。
理性: 矩(かに)。
律義者: 前欹髻(めえかたかしら)あ。 ※欹髻(かたかしら)は、成年男子の髪型。
普通は、頭の真ん中あたりで髪を結ぶが、それが前の方になっていることを、前欹髻
(めえかたかしら)と言う。欹は、そばだてる、と読む。髻は、もとどり、と読む。
立夏: 立夏(りっかあ)。 ※立夏は、二十四節気の一つ。新暦5月5日ごろ。
立秋: 立秋(りっしゅう)。 ※立秋は、二十四節気の一つ。新暦8月7日ごろ。
立春: 立春(りっしゅん)。 ※立春は、二十四節気の一つ。新暦2月5日ごろ。
立身: 立身(りっしん)。
立冬: 立冬(りっとぅう)。 ※立冬は、二十四節気の一つ。新暦の11月7日ごろ。
立派: 立派(でぃっぱ)。立派(りっぱ)。上分(じょおぶん)。
立派な: 清(ちゅ)ら。
立腹: 意地(いじ)。立腹(でぃっぷく)。腹立(はらだ)ち。立腹(りっぷく)。
離島: 離(はな)り島(じま)。離(はな)り。
利得: 利得(りとぅく)。
離乳: 乳離(ちいあ)かり。
痢病(りびょう): 痢病(りびょお)。 ※痢病は、今日でいう赤痢(せきり)のことら
しい。
離別: 離別(りびつぃ)。
理由: 場所(ばしゅ)。肝故(ちむええ)。訳故(わちええ)。訳(わけ)。
龍: 龍(どぅう)。 龍(るう)。
琉歌: 琉歌(るうか)。歌(うた)。
龍眼(りゅうがん)(植物名): 龍眼(でぃんがん)。龍眼(りんがん)。 ※龍眼は、ム
クロジ科ムクロジ属の植物。同科のレイシに似ているが、龍眼は、レイシより実が小
さく、種が大きい。大きな種を龍の目にたとえている。
流儀: 風儀(ふうじ)。
琉球: 琉球(どぅうちゅう)。琉球(るうちゅう)。
琉球表(りゅうきゅうおもて): 藺筵(いいむしる)。 ※琉球表は、琉球産の灯心草(と
うしんそう)で織った畳表(たたみおもて)。
琉球柿(りゅうきゅうがき): 黒棒(くるぼお)。 ※琉球柿は、カキノキ科カキノキ属
の植物。丸い小さな柿で食べられない渋柿である。沖縄では、柿を食べるという習慣
はなかったようで、今日、スーパーなどにおいてあるのは日本本土のものである。
琉球竹: 山原(やんばら)あ。山原(やんばら)あ竹(だき)。山原竹(やんばるだき)。
※琉球竹は、コサンダケ、ホテイチクのことを言うようである。
琉球ハゼノキ: 櫨(はじ)。櫨木(はじぎ)。 ※リュウキュウハゼノキは、単に、ハゼ
ノキ、ハゼとも言う。樹液は、和ろうそく原料となる。
流行: 流行(ふぇえ)い。
流行する: 流行(ふぇえ)ゆん。
流行歌: 流行(ふぇえ)い歌(うた)。端唄(はうた)。端唄(ふぁうた)。
流行語: 流行(ふぇえ)い言葉(くとぅば)。
流行病: 風気(ふうち)。
流出土(りゅうしゅつど): いいふ。 ※久米島にイイフビーチがあるが、関係のある語
であろうか。
龍舌蘭(りゅうぜつらん): どぅぐぁい。るぐぁい。 ※リュウゼツランは、リュウゼツ
ラン科の植物のことだと思うが、どぅぐぁい、るぐぁいは、アロエのことを言うので
はないかと思う。アロエは、ススキノキ科アロエ属の植物である。
流連(りゅうれん): 尾類(じゅり)ぬ家籠(やあぐま)い。 ※流連は、孟子が出典の
語で、遊びや楽しみにふけって家に帰るのを忘れること。私は、今まで一度も流連し
たことがないが、非常にあこがれる。
流連する: 入籠(ふぃりくま)ゆん。
漁(りょう): 漁(いざ)い。 ※いさりは、万葉集にも見える古い日本語である。
量: 櫃(しちゅ)。尺(しゃく)。
両足: 諸足(むるびしゃ)。
了解: 取(とぅ)い受(う)き。
了解する: 取(とぅ)い受(う)きゆん。
料金: 賃銭(ちんしん)。
漁師: 魚捕(いゆとぅ)やあ。海歩(うみあ)っちゃあ。海(うみ)ん人(ちゅ)う。
領収証: 受(う)き取(どぅ)い。
両親: 二親(ふたうや)。
領する: 掛(か)きゆん。
領地: 抱(かげ)え。上家地(うぇえかぢ)。
料亭: 肴屋(さかなやあ)。
両刃: 諸刃(むるふぁ)。
両方: 両方(ろおほお)。尻口(しりくち)。尻口(しるくち)。
量目(りょうもく): 斤目(ちんみ)。文目(むんみ)。 ※量目は、目方、秤目(はかり
め)のこと。
料理: 包丁(ほおちゅう)。
料理人: 包丁(ほおちゅう)。 ※包丁(ほうちょう)は、もともとは、料理人の意味で
ある。荘子では、そのような意味で使われている。琉球語には、もともとの意味が残
っていることになる。
料理屋: 肴屋(さかなやあ)。 ※肴は、酒菜(さかな)という意味。つまり、酒菜を出
すところが、さかなやあ、である。
利欲: 利欲(でぃゆく)。利欲(りゆく)。
緑豆(りょくず): 青豆(おおまあみい)。 ※緑豆は、リョクトウとも読み、ヤエナリ
のこと。小豆と同属。ほとんど、もやしの原料として消費される。
リョクチク(緑竹): 真竹(まあたく)。 ※緑竹は、イネ科ホウライチク属。この竹の
筍(たけのこ)が、もっともおいしいと言われる。
緑門(りょくもん): 木(きい)ぬ葉御門(ふぁあうじょお)。 ※緑門は、祝賀の際な
どに建てる、杉や檜(ひのき)の青葉で包んだ弓形の門。
旅行: 歩(あ)っち。旅(たび)。
旅装: 旅粧(たびすが)い。
利率: 利比(りふぃい)。
悋気(りんき): 悋気(りんち)。
林業に従事する人: 山歩(やまあ)っちゃあ。
臨月: 産(な)し月(づぃち)。産月(さんづぃち)。
臨時: 不図(ふとぅ)。
臨終: 目衰(みいうとぅ)い。
綸子(りんず): 綸子(りんす)。綸子(りんじ)。 ※綸子は、繻子地(しゅすじ)に文
様を織り出した絹織物。
淋病(りんびょう): 尿病(しいばいや)んでぃ。 ※淋病は、性病の一種。
る
類: 類(るい)。
瘰癧(るいれき): 凝(ぐる)い。 ※瘰癧は、慢性のリンパ節炎。
流罪(るざい): 島流(しまなが)し。
留守番: 家(やあ)ぬ番(ばあん)。
ルソン島: 呂宋(るすん)。
ルリハコベ(植物名): みんな。 ※ルリハコベは、サクラソウ科ルリハコベ属の植物。
瑠璃色(るりいろ)と言うが、私には非常にきれいな青色の花のように見える。葉が
ハコベに似ているが、ハコベはナデシコ科である。
れ
例: 例(りい)。例(たとぅ)い。
礼: 礼(りい)。
霊(れい): 遺念(いにん)。守(まぶ)い。守(まぶ)やあ。魂(たまし)。魂(たまし
い)。
冷雨(れいう): 霜(しむ)。 ※沖縄では、霜は降らないので、日本本土の霜に相当す
る言葉はない。琉球語のしむは、凍みるという意味かもしれない。
冷気: 冷(ふぃじゅ)い。
礼儀: 礼儀(りいじ)。様前(ざんめえ)。
礼儀作法: 礼儀作法(りいじさふう)。
礼金: 礼儀(りいじ)。
霊験(れいけん): 霊を参照。
霊魂(れいこん): 霊を参照。
レイシ(茘枝): 茘枝(りいち)。
冷笑: 白笑(しらわれ)え。
霊前: 霊前(でぃいじん)。霊前(りいじん)。
礼装: 朝衣裳(ちょおいしょお)。
礼服: 朝衣裳(ちょおいしょお)。
零落(れいらく): 落(う)てぃ沈(しじ)み。
零落する: 濡(ん)でぃゆん。
麗麗(れいれい)しい: 麗麗(りり)っさん。
歴史時代: 中御代(なかぐでえ)。中昔(なかむかし)。 ※中御代は、神御代(かみぐ
でえ)の次の時代を言うようである。神御代は、人間がいまだ存在しなかった時代の
ことのようである。
恋愛: 恋(くい)。思(うみ)い。思(うむ)い。
煉瓦(れんが): 煉瓦(りんぐぁ)。敷(し)ち瓦(があら)。
連歌: 連(つぃら)に。 ※つぃらには、琉歌を二人以上で読み連ねることを言うよう
である。
連珠(れんじゅ): 五目並(ぐむくなら)び合(え)え。五目並(ぐむくなら)びい。
※連珠は、五目並べのこと。
練習: 稽古(ちいく)。
練乳: ぼおどぅる。 ※ぼおどぅるは、外来語かもしれない。沖縄の練乳の定番に鷲ミ
ルクがある。正式名称は、ネスレ・イーグルコンデンスミルク。ワシミルクとは、ど
こにも書いていないが、沖縄では、ワシミルクで通用している。ちょっと気のきいた
言い方だと、「イチゴの上にかけるやつ」である。
ろ
櫓(ろ): 櫓(るう)。
炉(ろ): 地炉(じいる)。
牢(ろう): 牢(るう)。
廊下(ろうか): 縁(いいん)。
老眼: 年寄目(とぅしゅいみい)。
老後: 老(うぃい)な老(うぃい)な。
年寄り: 年寄(とぅしゅ)い。
老衰: 年寄(とぅしゅ)い弱(よお)い。
蝋燭(ろうそく): 蝋(どお)。蝋(ろお)。
漏斗(ろうと): 漏斗(じょおぐ)。
労働: 仕口(しくち)。
労働者: 足掻(あがちゃ)あ。
朗読: 墨復(すぃみふく)。
狼狽(ろうばい)する: 慌(あわ)てぃゆん。
浪費: 喰(くぇ)え放(ほお)りい。銭垂(じんだあ)り。銭捨(じんすぃ)てぃ事(ぐ
とぅ)。
老耄(ろうもう): 老耄(どおま)。老耄(ろおま)。
楼門(ろうもん): 鳥居(とぅり)。 ※楼門は、二階造りの門のこと。
牢屋(ろうや): 牢屋(るうや)。
六: 六(るく)。
六月: 六月(るくぐぁち)。
六十: 六十(るくじゅう)。
緑青(ろくしょお): 青錆(おおさび)。 ※緑青は、銅に生じる緑色の錆(さび)。
六条豆腐(ろくじょうどうふ): 六条(るくじゅう)。 ※六条豆腐は、豆腐を薄切りに
して塩をまぶし、陰干しにしたもの。
六人: 六人(むったい)。
六年: 六年(むとぅ)。
露見する: 現(あらわ)りゆん。
路地: 筋(しゅうじ)。
六角: 六角(るっかく)。
露店: いしげえ。にしげえ。
論争: 言(い)い負(ま)かせえ。
論文: 文言(むんぐん)。