表紙 前文

 

           

 

   な

 

名: 名(なあ)。名前(なめえ)。

菜: 青葉(おおふぁ)。

な(禁止): な。

なあ(助詞): やあ。よお。

無い: 無(ねえ)ん。無(ねえ)らん。

内外: 内外(うちふか)。

内閣: 評定所(ひょうじょおじゅ)。

内緒: 密(みすぃ)かってえん。内緒(ねえしゅう)。

内情: 御中(うちゅう)。

内緒話: 内緒話(ねえしゅうばなし)。細物語(ぐまむぬがたい)。

内心: 肝内(ちむうち)。

内臓: ふぃい。腸身物(わたみいむん)。

内地米: 地米(じいめえ)。 ※外米が唐米(とおぐみ)、沖縄産米が、島米(しまぐみ)。

地米は、本土の人がそう呼んでいたことから。

内通: 内通(ねえつう)。

内内: 内内(ねえねえ)。

ナイフ: すぃいぐ。

内服薬: 飲(ぬ)み薬(ぐすい)。

内分: 内分(ねえぶん)。

綯(な)う: 綯(のお)ゆん。 ※綯うは、糸や紐(ひも)などを撚(よ)り合わせる

  こと。

苗: 苗(ねえ)。

蹇(なえ)ぐ: 蹇(ねえ)じゅん。※蹇ぐは、足が悪くて正しい歩行ができなくなるこ

と。こんなに古い言葉が琉球語として残っている。陸奥宗光の回顧録に、蹇蹇録(け

んけんろく)がある。

萎(な)える: 萎(ねえ)ゆん。 ※ねえゆんは、大体、野菜などが萎(しな)びるこ

とに使われるようだ。

猶(なお): ゆく。ゆくん。

直す: 引(ふぃ)ち直(のお)しゅん。直(のお)しゅん。

直る: 直(のお)ゆん。

名折れ: 腰引(くしふぃ)ち。名折(なう)り。 ※名折れは、名誉、名声がきずつく

こと。

中: 身(みい)。中(なあか)。中(なか)。

仲: 仲(なあか)。中(なか)。

長雨: 長雨(ながあみ)。長降(ながぶ)い。

長歩き: 長歩(ながあ)っち。 ※長歩きは、日本国語大辞典に載っていない。琉球語

特有の言葉のようである。

長い: 長(なが)さん。長(なげえ)さん。

長居: 長尻(ながつぃび)。長居(ながい)い。

長生き: 長命(ちょおみい)。長生(ながい)ち。

長追い: 長追(ながうう)い。 ※長追いは、逃げる相手を遠くまで追いかけること。

保元物語に見える。

仲買人: 商人(あちょおどぅ)。馬喰(ばくよお)。

長さ: 長(な)ぎ。

長座: 長座(ながざ)。 ※長座は、長い間そこにいること。長居。

流し: 水棚(みんたな)。 ※水棚(みずだな)は、台所で洗った皿などを置く棚。熊本

県・長崎県の一部でも、流しのことを水棚と呼ぶらしい。

流し目: 引(ふぃ)ち目(み)。正目(しょおみ)。 ※流し目は、顔を向けないで、目

だけをそのほうに向けること。

長尻(ながじり): 長尻(ながつぃび)。 ※長尻は、長座、長居と同じ意味。

長尻の人: 長尻(ながつぃば)あ。

流す: 流(なが)しゅん。

長袖の上着: 馬掛(まあくぁあ)。 馬掛は、袖の長い、丈の短い中国風の上着。男性用

である。

中空(なかぞら): 中辺(なかび)。 ※おもろさうし・269に、なかべ、とある。

中剃(ぞ)り: 中剃(なかず)い。 ※中剃りは、頭の中央部だけ、髪を剃り去ること。

本土の武士の習俗であろう。

仲違(なかたが)い: 仲固(なあかぐふぁ)い。仲違(なあかたげ)え。

仲立ち: 仲立(なかだ)ち。仲入(なかい)り。

長旅: 長歩(ながあ)っち。

長続き: 長続(ながつぃじ)ち。

長続きさせる: 最通(むとぅう)しゅん。

長続きする: 最通(むとぅう)ゆん。

長逗留(ながとうりゅう): 淀(ゆうどぅ)。

仲直り: 仲直(なあかのお)い。仲直(なかのお)い。

仲直りする: 堪(くねえ)ゆん。

仲直りさせる: 柔(やふぁら)きゆん。

長々と: 長々(ながながあ)とぅ。

長鳴き: 立(た)ち鳴(な)ち。 ※たちなちは、犬が長く吠え続けることを言うよう

  である。

中庭: 中庭(なかにわ)。 ※中庭に面した部屋を、中前(なかめえ)と言う。なかめえ

は、居間のことである。

長年: 長年(ながにん)。

半ば: 道中(みちなか)ら。半(なか)ば。中(なか)ら。中(なか)ら道(みち)。

長引く: 引(ふぃちゅ)るゆん。引(ふぃちゅ)るうゆん。長引(ながび)ちゅん。

仲間: 連(つぃ)り。同志(どぅし)。相中(ええじゅう)。具(ぐう)。 ※関西でも、

仲間のことを、つれ、と言うが、東京では、あまり使わないようである。

中身: 身(みい)。

中昔: 中昔(なかむかし)。 ※上古と近古との中間の時期。中古。御伽草子、鉢かつぎ

に、「中むかしのことにや有けん」、とある。

眺め: 眺(なが)み。

眺める: 眺(なが)みゆん。

長持ち: 長持(ながむ)ち。

長持ちする: 保(たむ)ちゅん。

ながもの: 長物(ながむん)。 ※ながものは、蛇という言葉を婉曲に言ったもの。

中休み: 中休(なかやすぃ)み。中憩(なかゆく)い。

長休み: 長休(ながやすぃ)み。

中指: 中指(なかいいび)。

仲良く: かながなあとぅ。

仲良くすること: 和団(わだん)。和合(わごお)。和合和団(わごおわだん)。和団和合 

  (わだんわごお)。

仲良し: 良(い)い仲(なあか)。

ながら: あぎいなあ。がちい。がなあ。ながら。なぎいなあ。

長らえる: 長(なが)らゆん。

長らく: 長通(ながどぅう)し。長通(なぎどぅう)し。

流れ: 流(なが)り。

流れ星: 星(ふし)ぬ家移(やあうち)い。

流れる: 走(は)ゆん。流(なが)りゆん。

長患(ながわずら)い: 長病(ながや)み。

凪(なぎ): 凪(とぅり)。 ※あさとれ、ゆうとれは、おもろさうしの頻出語。

泣き明かす: 泣(な)ち明(あ)かしゅん。

泣き入る: 泣(な)ち入(い)ゆん。

泣き顔: 泣(な)ち顔(がう)。

泣き暮らす: 泣(な)ち暮(く)らしゅん。

泣き声: 泣(な)ち声(ぐぃい)。

今帰仁: 今帰仁(なちじん)。

泣き疲れる: 泣(な)ち喰(くぁあ)りゆん。

泣き付く: 泣(な)ち掛(か)かゆん。

長刀(なぎなた): 長刀(なじなた)。

泣きまね: 泣(な)ち真似(ねえび)。

泣き虫: 泣(な)ち虫(ぶし)。泣(な)ち虫(ぶしゃ)あ。

泣きわめく: 喚(あ)びゆん。

泣き笑い: 泣(な)ち笑(われ)え。

泣く: 喚(あ)びゆん。ふぃいじゆん。泣(な)ちゅん。

鳴く: 喚(あ)びゆん。吹(ふ)きゆん。鳴(な)ちゅん。歌(うた)ゆん。

凪(な)ぐ: 凪(とぅり)ゆん。

慰め: 慰(なぐさ)み。

慰める: 慰(なぐさ)みゆん。慰(なぐさ)ぬん。

なくす: 失(うしな)ゆん。

泣く泣く: 泣(ん)く泣(ん)く。

なくなる: 汁成(しるな)ゆん。

なぐりつける: 克(すぐ)い返(けえ)らしゅん。

なぐりとばす: 克(すぐ)い飛(とぅ)ばしゅん。

なぐる: 当(あ)てぃゆん。殴(にい)ゆん。躾(しつぃき)ゆん。克(すぐ)ゆん。

投げ合い: 投(な)ぎ合(え)え。

投げ売り: 捨(すぃ)てぃ売(う)い。

嘆いて: 狂(くり)い狂(ぐり)い。

投げ込む: 投入(なぎん)ちゅん。

投げ捨てる: ちゃん投(な)ぎゆん。放(は)ん投(な)ぎゆん。うっちゃんぎゆん。

投げ散らすこと: 投(な)ぎ計(ばかれ)え。

投げ散らして置くこと: 投(な)ぎ放(ほお)りい。

投げる: 投(な)ぎゆん。

名子(なご): 名子(なあぐ)。 ※名子は、領有地の一部を小作していた下層農民のこ

  と。沖縄以外にも方言として残っている。

仲人: 仲立(なかだ)ち。

和む: 凪(とぅり)ゆん。

名護蘭(ナゴラン): 名護蘭(なぐらん)。 ※名護蘭は、学名:ファラエノプシス・ヤ

ポニカ。胡蝶蘭(こちょうらん)の仲間である。植物名に名護が使われているのは、

名護市民として誇らしい。

名残り: 名残(なぐ)り。

名残り惜しい: 飽(あ)ちざらん。名残(なぐ)りしゃん。 

情け: 情(なさ)き。為情(しなさ)き。

情けない: 連(つぃ)り無(な)さん。

名指し: 名指(なざ)し。

成し遂げる: 閉(とぅ)じ見(み)ゆん。

茄子(なす): 茄子(なあすぃび)。

為(な)す: 為(な)しゅん。

なすりつける: 摺(すぃ)り擦(なすぃ)ゆん。摺(すぃ)り付(つぃ)きゆん。

擦(なす)る: 擦(なすぃ)ゆん。 ※擦(なす)るは、江戸時代以後の比較的新しい

  言葉のようである。

なぜ: ちゃあっし。

謎: 明(あ)かし物(むん)。物明(むぬあ)かせえ。

なぞる: 彩(だ)みゆん。 ※彩(だ)むは、あざやかに彩色するという意味の日本語

である。彩絵は、だみえ、と読む。

鉈(なた): 山K(やまなじ)。

灘(なだ): 灘(なだ)。 ※灘は、流れの早いところを意味する普通名詞である。

名高い: 名(なあ)ゆる。聞(ちくぃ)いゆん。鳴響(とぅゆ)ぬん。音打(うとぅう)

ちゅん。 ※なあゆるの、ゆるは、いわゆるの、ゆると関係のある語か。おもろさう

しの、聞こゑ大君、とよむせたかこの、聞こゑ、とよむは、もともとは、名高いとい

う意味であるが、後世はほとんど、固有名詞のようになった。聞こゑ大君の発音は、

chikwii uukimiと思う。ゑと表記されるのは、そのためであろう。

菜種油: 真油(まああんだ)。

宥(なだ)める: 賺(すぃか)しゅん。

夏: 夏(なつぃ)。

懐かしい: 強(あなが)ちさん。 ※日本語の古語、あながち、と関係があると思う。

あながちは、自分のおもうままに、という意味。なつかしいというのは、だいたいに  

おいて、わがままきまま、じぶんのおもいのままと、ということである。

夏着: 夏物(なつぃむん)。

名付け: 名付(なあづぃ)きい。

納得する: 聞(ち)ち分(わ)きゆん。

菜っ葉: 青葉(おおふぁ)。

夏負け: 熱(ふみ)ち負(ま)き。夏負(なつぃま)き。 ※熱(ほめ)くは、熱くな

るという意味の日本語。

夏物: 夏物(なつぃむん)。

撫(な)でる: 撫(な)でぃゆん。

など(助詞): んでえ。

七: 七(なな)。七(なな)つぃ。七(しち)。

七草: 七日(なんか)ぬ節供(しく)。 ※正月七日に、雑炊に若菜を入れて食べたよう

である。本土の七種の草は沖縄ではそろわないと思われる。

七つ: 七(なな)つぃ。

七つ星: 七(なな)つぃ星(ぶし)。 ※いわゆる北斗七星のことである。高知県土佐郡

では、七つ星は、七星テントウムシのことらしい。

七尋(ななひろ): 七尋(ななふぃる)。 ※一尋は、両手を目いっぱい広げた時の、左 

手の中指から、右手の中指までの長さのことらしい。おもしろいことに、英語のfathom

も、同じ長さを意味する。人間が考えることは、不思議な一致をみる場合がある。

斜め: 斜(なんべ)えい。

斜めにする: 斜(なんべ)えゆん。

何: 何(ぬう)。

何か: 何(ぬう)がな。

何とぞ: どおでぃん。

何々: 何何(ぬうぬう)。

何ほどの: 何(ぬう)しゃる。

何もかも: 何(ぬう)んくぃいん。

何やかや: 何(ぬう)やあくぃいやあ。

何某(なにがし): 何某(なにがし)。ぬぐなあ。

何事: 何事(ぬうぐとぅ)。

何とぞ: どおでぃん。

何々: 何々(ぬうぬう)。

何分: 何分(なにぶん)。

何もかも: 何(ぬう)ん斯(くぃい)ん。

何者: 誰(たん)ぬ者(むん)。

何やかや: 何(ぬう)やあ斯(くぃい)やあ。

七日(なのか): 七日(しちにち)。

七日正月: 七日(なんか)ぬ節供(しく)。 ※七日正月は、七草と同じ意味のようであ

る。なぜ、雑炊を食べるのか。沖縄では、旧暦7月13日に、ウンケージューシーを

食べる。これは、雑炊というよりも、炊き込みご飯である。

名乗り: 名乗(なぬ)い。 ※名乗りは、文字通り名前を告げることであるが、元服後

に付けられる実名を名乗りという。牛若丸が幼名で、義経が名乗りである。沖縄の士

族には、名乗りに、共通した一文字を付ける慣習がある。たとえば、朝、盛、安、良、

など。これらは、大体名前の上に付けられるので、名乗り頭(がしら)ともいう。具

志堅用高の用は名乗り頭である。ちなみに、私の名前の嗣は、名乗り頭で、親戚の男

子はほとんどすべて、嗣の字がつく。現代は、こういう慣習にこだわる人とそうでな

い人と両方があるようである。ちなみに、徳川家の名乗り頭は、家、である。足利家

は、義、である。興味深いのは、毛利家である。名乗り頭は、元、であるが、嫡子は、

名前の下に元の字を付け、嫡子以外は、名前の上に元の字を付ける。毛利元就は、嫡

子ではなかったことが、名前からわかるのである。

名乗りを付ける: 名乗(なぬ)ゆん。

名乗る: 名乗(なぬ)ゆん。

那覇: 那覇(なあふぁ)。

那覇の人: 那覇(なあふぁ)ん人(ちゅ)。那覇(なあふぁ)あ。 ※なあふぁあは、親 

しみがこもっているというよりも、やや、さげすんだ感じがする。〜の人は、語尾に、 

んちゅ、を付けれる以外に、語尾を変化させる場合がある。安室の人は、あむらあ、

である。糸満の人は、いちまなあ、である。屋我地の人は、やがじゃあ、である。た

だし、このように、語尾を変化させた場合は、大体において、やや、蔑称のように響

くので、あまり使わないほうがいいかもしれない。〜んちゅ、が無難である。

靡(なび)く: 靡(なび)ちゅん。

名札: 名札(なふだ)。

なぶりもの: 弄(なばく)い者(むん)。

なぶる: 弄(なばく)ゆん。

鍋: 鍋(なあび)。

鍋墨(なべずみ): 鍋(なあび)ぬ竃黒(ふぃんぐ)。 ※鍋墨は、鍋の底についた黒い

煤煙。混効験集、坤巻:言語に、へんご、とある。鍋黒(へぐろ)は、九州地方に見 

える方言のようである。

生: 生(なま)。

生意気: 推参(すぃいさん)。わあち。

生意気な: 気高(ちいだか)さん。

生意気な人: 気高者(ちいだかむん)。違(ちぐぇえ)い者(むん)。気変者(ちいぐぇ 

えむん)。

名前: 名(なあ)。名前(なめえ)。

生臭い: 蒜腐(ふぃるぐさ)さん。

生臭い物: 蒜腐(ふぃるぐさ)り物(むん)。

なまぐさ坊主: 肉喰(ししくぇ)え坊主(ぼおじ)。

なまくら: 曲(まぐら)あ。 ※なまくらは、刃物などの切れ味が悪いこと。

怠け者: 惰弱(だざく)。ぐうだ。揺(ゆら)りやあ。寄(ゆ)らし者(むん)。寄(ゆ)

らしゃあ。怠垂(なまた)り者(むん)。

怠ける: 揺(ゆ)らりゆん。怠垂(なまた)りゆん。怠(うくた)ゆん。

生殺し: 生殺(なまぐる)し。 ※生殺しは、半殺し、あるいは、中途半端な状態。

膾(なます): 膾(なますぃ)。 ※膾は、魚介や、獣などの生肉を細かく切ったもの。

日本書紀にも見える。おもろさうし・93に、おきなます、へたなます、とある。

生煮え: 片上(かたあ)がい。片煮(かたに)い。

生肉: 生肉(なまじし)。

生温い: 緩(ゆる)さん。

生温くなる」 温(ぬる)くぃゆん。

生水: 生水(なまみずぃ)。 ※生水とは、くんだままで、沸かしていない水のことらし

  いが、現在は、水道からでてくる水のことを言うらしい。

生もの: 生物(なまむん)。 ※生ものは、煮たり焼いたり干したりしていないものを言

うらしい。

鉛: 水金(みずぃかに)。鉛(なまり)。白金(しるかに)。

訛り: 言葉(くとぅば)。 ※訛り、方言のことを、ただ単に、言葉(くとぅば)と言う

らしい。すべての言葉は、方言であり、訛りであるという事実を琉球語が明らかにし

ている。英語はイングランドの方言である。英語は、この宇宙のほとんどすべてのこ

とを表現できるが、琉球語ではそれができない。この違いは大きいかもしれないが、

どちらも、対等な方言である。

鈍(なま)る: 曲(まぐ)りゆん。鈍(なま)りゆん。

波: 波(なみ)。 ※おもろさうしには、いろいろな波が出てくる。あふなみ、おしあい

なみ、くらなみ、ささらなみ、しらなみ、めよとなみ、よせなみ、よりあいなみ。特

に、ささらなみは、新撰字鏡に見える。

並み: 常(つぃに)。並(な)み。

波風: 波風(なみかじ)。

涙: 目涙(みいなだ)。目涙(みなだ)。涙(なだ)。涙(なみだ)。 ※なだは、日本各 

地にある方言で、なみだのこと。

涙ぐんださま: 涙(なだ)ぐる回(まあ)い。涙(なだ)ぐる回(まあ)やあ。

涙もろい: 涙弱(なだよお)さん。

蛞蝓(ナメクジ): 舐(な)み虫(むし)。舐(な)み虫(むしゃ)あ。

なめらか: 滑(な)どぅってえん。

なめらかな: 滑(な)んどぅるさん。

なよなよと: 節節清(ゆゆじゅら)さん。 ※節(よ)は、竹などのの節(ふし)と節

(ふし)の間のこと。竹取物語、「此子を見つけて後に竹とるに、節(ふし)を隔てて、

よごとに黄金ある竹を見つくる事かさなりぬ」。よごとは、節と節の間ごと、という意

味。琉球語の節(ゆ)は、日本古語の節(よ)と関係があるらしい。

習い: 習(なれ)え。 ※aieeに変化するのは江戸弁と同じである。この現象は、琉

  球語と江戸弁で一貫しているようである。

習う: 習(なら)ゆん。

倣(なら)う: 歌(うたあ)しゅん。

鳴らす: 鳴(な)らしゅん。

均(なら)す: 均(なら)しゅん。平(とお)みゆん。臀呫(とぅな)みゆん。押(う) 

し臀呫(とぅな)みゆん。 ※臀呫(となめ)は、日本書紀に見える言葉であるが、

ほとんど、私の当て推量である。

ならず者: 触(ふ)り者(むん)。座蝿者(ざあふぇえむん)。

並び: 並(なら)び。

並ぶ: 比(くな)ばゆん。並(な)ぬん。並(なら)ぶん。

並べる: 比(くな)びゆん。並(なら)びゆん。

習わし: 習(なれ)え。俗(ずく)。

なり: 成(な)い。

成金: あったうぇえきん人(ちゅ)。

なりふり: 風儀(ふうじ)。

鳴り物: 鳴(な)い物(むん)。 ※楽器を総称して、鳴り物というようである。

生り物: 生(な)い物(むん)。 ※生り物は、くだもの、果実をいうようである。

成り行き: 行(い)ち成(な)い。成(な)り行(ゆ)ち。

成る: 成(な)ゆん。

為る: 為(な)ゆん。

生る: 生(な)ゆん。

鳴る: 鳴(な)ゆん。

なるべく: 成(な)らば。成(な)れや。成(な)るびち。成(な)らあ。

なるほど: 成(な)る程(ふどぅ)。

慣れ: 慣(な)り。

馴れ初め: 馴(な)り初(す)み。

慣れる: 慣(な)りゆん。為慣(すぃいな)りゆん。

馴れる: 馴(な)りゆん。為馴(すぃいな)りゆん。

縄: 綱(つぃな)。綱縄(つぃななあ)。縄(なあ)。

苗代: 苗代(なあしる)。

苗代イチゴ: 毛苺(もおいちゅび)。 ※小学校の帰り道によく食べたが、おいしいとい

う記憶はない。

何(なん): ぬう。

何だかだ: 何(ぬう)どおくぃいどお。

何ということ: 何(ぬう)てぃ事(くとぅ)。

何とか: あんさわんかんさわん。ちゃあがな。ぬうがな。

何としても: ちゃあしんかあしん。

何とでも: 何(ぬう)とぅんくぃいとぅん。

何とも: ちゃあでぃん。ちゃあどぅんでぃん。

何の: まあぬ。何(ぬう)しゃる。

何のかの: 何(なん)ぬうかんぬう。何(ぬう)くぃい。何(ぬう)ぬくぃいぬ。

      ぬうしゃんくぃしゃん。

難: 難(なん)。

難儀: 難儀(なんじ)。難儀(なんじ)くんじ。大層(てえそお)。

南京袋: 滓皮袋(かしがあぶくる)。 ※南京袋は、穀類などを入れる粗織りの大きな袋

のことで、現在は、厚めの紙袋が使われている。南米からのコーヒー豆は、かしがあ

ぶくるで運ばれるようである。

南京米: 唐米(とおぐみ)い。 ※南京米は、中国からの米をそう呼んでいたらしい。

南京豆: 地豆(じいまあみ)。 ※南京豆は、落花生、peanutsのことである。琉球語の地 

豆は、地面に生える豆のこと。ジーマーミ豆腐は、落花生とサツマイモのでんぷんか

ら作る。大豆は使われていないので、豆腐と呼ぶべきではないかもしれない。沖縄の

スーパーではふつうにおいてある。伊江島はジーマーミの産地として有名である。

南京虫: 平(ふぃいらあ)。人喰平(ちゅくぇえびいら)。 ※南京虫は、トコジラミの

ことらしい。見た目は確かにひらぺったい。

喃語(なんご): んくう。 ※喃語は、幼児のいまだ言葉にならない発声。

軟骨: ぐすみち。

難産: 難産(なんさん)。

なんて(助詞): なっくぇえ。

何時: 何時(なんどぅち)。

難船: 難船(なんしん)。 ※難船は、船の破損、覆没、座礁などをいう。

何度: 幾回(いくけえん)。何度(なんどぅ)。

何日: 幾日(いっか)。何日(なんにち)。

何人: 幾人(いくたい)。何人(なんにん)。

何年: 何年(なんにん)。

南蛮(なんばん): 南蛮(なんばん)。 ※南蛮は東南アジア一帯をさすことばであるが、 

もともとは、中国からみて、南の野蛮人という意味である。混効験集、坤巻:乾坤に、

なはん、おもろさうし・753に、なはん、とある。

南蛮焼き: 南蛮(なんばん)。南蛮甕(なんばんがあみ)。 ※中国南部、東南アジア方

面から輸入された粗陶器。安土桃山時代には、茶道具として使われたらしい。呂宋助

左衛門が、これを豊臣秀吉に高く売りつけ巨万の富を得たと、1978年のNHK大河

ドラマ「黄金の日々」で見た記憶がある。

何匹: 何匹(なんびち)。

 

   に

 

二: 二(にい)。二(たあち)。

荷: 荷(にい)。荷物(にむつぃ)。

に(助詞): が。かい。ない。なかい。に。んかい。

似合い: 良(い)い似合(ねえ)。似合(なわ)い。似合(ねえ)。似合(にえ)え。似

合(にいえ)え。ねえとぅけえとぅ。のおたけえた。

似合う: 似合(なわ)ゆん。似合(におお)ゆん。似合(のお)ゆん。撓(すぃな)ゆ

ん。打合(うちゃ)ゆん。

二上がり: 上(あ)ぎ。二上(にいあ)ぎ。 ※二上がりは、三味線の調弦法の一つ。 

本調子に対して、二ノ糸を一全音高く調律してあるもの。はなやかで陽気な気分や田

舎風を表す調子。

新(にい): 新(みい)。

兄さん: あふぃい。役目(やくみい)。やっちい。

新妻: 新刀自(みいとぅじ)。

ニイニイゼミ: 蝉小(すぃいみいぐぁあ)。

荷馬: 荷押(にいう)さあ。 ※荷馬は、荷物を負って運ぶ馬。

煮えきらない: 堪(てえ)ん立(た)たん。

煮え湯: 熱(ふ)ち湯(ゆう)。

煮える: 煮(にい)ゆん。

匂い: 芳(かじゃ)。匂(にう)い。匂(にうぃ)。

仁王: 仁王仏(によおぶとぅき)。仁王仏(におおぶとぅき)。

匂う: 匂高(にうぃだか)さん。 ※良い匂いは意味しないようである。

二回: 二回(たけえん)。

二階: 二階(にいけえ)。

苦い: 苦(んじゃ)さん。

二階屋: 二階屋(にいけえやあ)。 ※昔のにいけえやあは、大層自慢であった。

苦瓜(にがうり): ごおやあ。 ※今時、苦瓜という人はほとんどいない。この名称では

あまり売れそうにないので、あえて、ゴーヤなどと言っているのであろう。なぜ、ゴ

ーヤーといわずに、ゴーヤなのかはよくわからない。私見であるが、日本人は、長音

というのを嫌う傾向があるようで、一語の中に二個の長音は、避けたいのであろう。

煮返し: 滾(たじ)らし返(けえ)さあ。 ※煮返しは、煮てあるものをもう一度煮な

おすこと。炒めたものをもう一度炒めなおすのは、あちらしけえさあ、と言う。

苦木(にがき): 苦木(んじゃき)。 ニガキ科ニガキ属の落葉高木。木のどの部分にも

苦みがあるらしい。樹皮の苦み成分は、太田胃散に使用されているそうだ。

二カ月: 二カ月(たつぃち)。

逃がす: ふぃん逃(ぬ)がしゅん。

二月: 二月(にぐぁつぃ)。二月(にんぐぁつぃ)。

苦み: 苦(んじゃ)み。

膠(にかわ): 膠(にかあ)。 ※膠は、動物の組織から作る接着剤。英語で、glue。膠の

音読みは、コウ。日本語は、膠着語(こうちゃくご)、英語は屈折語、中国語は孤立語

である。

苦笑い: 苦笑(んじゃわれ)え。

にぎにぎ: ちんとぅんてん。 ※にぎにぎは、赤ん坊が、その手を握ったり、ひらいた

りすること。琉球語の、ちんとぅんてんは、三線の音。赤ん坊のにぎにぎを、三線の

音にたとえたものらしい。ちなみに、日本語のにぎにぎは、賄賂を意味する。江戸時

代の川柳、「役人の子はにぎにぎをよく覚え」。

にきび: 面皰(にくん)。

にぎやかなさま: ぐぁんぐぁん。

にぎやかにする: 華(はね)えかしゅん。華(はねえ)きゆん。

握り拳(こぶし): 手(てぃい)じくん。

握り飯: 御盆握(うぶんにじ)りい。 ※沖縄のおにぎりは、本土のように三角ではな

  く、まんまるである。ポーク玉子おにぎりは、四角いようである。

握り屋: 握(にじ)やあ。 ※握り屋は、お金を握って放さない、つまり、しまりや、

ケチのことである。鹿児島県肝属(きもつき)郡では、いまだに、ケチのことを、に

ぎりや、と言うらしい。

握る: 掴(かつぃ)みゆん。握(にじ)ゆん。

賑(にぎ)わう: 華(はね)えちゅん。熱(ふ)みちゅん。

肉: 肉(にく)。猪(しし)。

憎い: 見難(みっくぁ)さん。憎(にく)さん。

肉汁: 煮抜(にいぬ)じ。 ※いわゆる、豚骨スープである。

肉付き: 肉持(ししむ)ち成(な)い。

憎々しい: 嫌(や)な見難(みっくぁ)さん。

憎まれっ子: 嫌(や)な童(わらび)。

憎まれ者: 見難(みっくぁ)さ者(むん)。

憎む: 憎(にく)ぬん。

肉屋: 豚為屋(うぁあさあやあ)。

憎らしい: 見難(みっくぁ)さん。

荷車: 荷車(にぐるま)。荷車(にいぐるま)。

逃げ出す: 引(ふぃ)ん逃(ぬ)ぎゆん。

逃げる: 引(ふぃ)んぎゆん。引(ふぃ)ん退(じ)ゆん。

にこにこ笑う: 笑(われ)え被(かん)じゅん。

濁らせる: みんぐぁしゅん。

濁る: みんぐぃゆん。しんぐぃゆん。

二三年: 二年三年(たとぅみとぅ)。

西: 入(い)り。 ※太陽が入る方角という意味だろう。西表と書いて、いりおもて。

辛螺(にし): つぃんぼおらあ。 ※辛螺は、巻貝の総称。

虹: 虹(ぬうじ)。

西風: 落(う)てぃ吹(ぶ)ち。

錦: 錦(にしち)。

西南(にしみなみ): 申(さん)とぅ子(にい)。

滲(にじ)む: 散(ち)りゆん。

西向き: 入(い)り向(ん)けえ。

煮染(にしめ): 染(し)み物(むん)。 ※煮染は、魚、野菜、肉などを味つけした汁

で煮込み、多少汁気を残し、照りをつけないで煮上げたもの。日本国語大辞典を引用

したが、実に的確な表現である。料理の専門家による記述であろう。

二十: 二十(にじゅう)。

二重: 二重(にじゅう)。

二重顎(にじゅうあご): 二重頤(てえうとぅげえ)。 ※てえは、ふたえが縮まったも

のと思われる。うとぅげえは、頤(おとがい)のこと。

二十五年忌: 二十五年忌(にじゅうぐにんち)。 ※数えであるから、亡くなってから、

二十四年目である。二度目の干支にあたる。たとえば、午年に亡くなった人は、二回

目の午年ということになる。一回目の午年が十三年忌である。

二十四孝: 二十四孝(にじゅうしこお)。 ※二十四孝は、中国で有名な孝子二十四人の

総称。浄瑠璃に、本朝二十四孝がある。

二十四節: 節(しつぃ)。

二十歳: 二十歳(はたち)。 ※二十歳の読み方は、にじっさい、が正しい。

偽物: 偽(にし)い。偽物(にしむん)。

似せる: 似(に)しゆん。

煮出し: 出汁(だし)。 ※煮出しは、煮出し汁のこと。

煮出す: 煎(しん)じゆん。

日限: 日限(にちじん)。

日夜: 夜昼(ゆるふぃる)。

似つかわしい: 似合(なわあ)しゃん。

日記: 日記(にっち)。

荷造り: 荷造(にいづく)い。荷造(にづく)い。

肉桂(にっけい): がらし。肉桂(にっちい)。 ※肉桂は、シナモンのこと。世界で最

も古いスパイスらしい。エジプトのミイラの防腐剤としても使われたらしく、古代ギ

リシアの詩人サッポーの詩にも登場し、正倉院御物の中にもあるらしい。

ニッケル: 洋銀(やんじん)。 ※ニッケルは、1851年に発見された元素。合金、メ

ッキ材などとして使われる。

日射病: 日負(ふぃいま)き。 ※現在では、日射病よりも、熱中症という言葉が多く

使われるようである。

日蝕(にっしょく): 日蝕(にっしゅく)。

日中: 日中(ふぃじゅう)。

日本(にっぽん): 大和(やまとぅ)。

日本語: 大和口(やまとぅぐち)。

日本人: 大和(やまとぅ)ん人(ちゅ)。大和(やまとぅ)う。

日本製品: 大和物(やまとぅむん)。

二度: 二度(にどぅ)。

二年: 二年(たとぅ)。

二の糸: 中弦(なかずぃる)。 ※三線の第二弦のこと。

二の腕: 腕(けえな)。

二番鶏: 二番鶏(にばんどぅい)。 ※二番鶏は、ふつう午前四時頃鳴くらしい。

鈍い: 鈍(どぅん)なさん。

荷札: 荷札(にいふだ)。

鈍る: 鈍(なま)りゆん。

日本(にほん): 日本(にっぽん)を参照。

二枚: 二枚(にんめえ)。

二枚貝: あふぁ貝(けえ)。あふぁくう。

二枚舌: 面二(つぃらたあちゃ)あ。

荷物: 荷(にい)。荷物(にむつぃ)。

にゃあにゃあ(猫の鳴き声): まあうまあう。

荷厄介(にやっかい): 荷厄介(にいやっけえ)。荷煩(にいわちゃれ)え。 ※荷厄介

  は、荷物の取り扱いが面倒になること。 

入獄: 牢為(るうしゃ)。

入札: 入(い)り札(ふだ)。

乳歯: 乳喰(ちいくぇ)え歯(ばあ)。

乳児: 乳飲(ちいぬ)みん子(ぐぁ)。

入場料: 物賃(むんちん)。

乳腺炎(にゅうせんえん): 乳瘡(ちいがさ)。 ※乳腺炎は、乳頭にできた小さな傷口 

から化膿菌が侵入して起こる乳腺の炎症。

入牢: 牢為(るうしゃ)。

如意宝珠(にょいほうじゅ): 上(ぬぶ)し珠(だま)。 ※如意宝珠は、仏教用語で、

一切の願いがかなうと言われる不思議な珠。

尿道炎: 為尿破(しいばいやん)でぃ。

女人禁制: 女法度(うぃなぐはっとぅ)。

ニラ(薤): 切(ち)り薤(びら)。

にらむ: 目光(みいふぃちゃ)ゆん。

にらめっこ: みいくうめえ。

煮る: 煮(に)ゆん。

似る: 似(に)ゆん。

庭: 庭(なあ)。庭(にわ)。

にわか: あった。

にわか雨: あった降(ぶ)い。

にわかに: あったに。

にわか分限: あったうぇえきん人(ちゅ)。 ※にわか分限は、成金のこと。

庭木: 庭木(にわぎ)。

鶏: 鶏(にわとぅい)。鶏(とぅい)。

任官: 御内裏御願(うぇえだいうがん)。

人魚: 赤子魚(あかんぐぁあいゆ)。ざん。ざんぬ魚(いゆ)。 ※ざんは、ジュゴンの  

こと。おもろさうし・505に、さん、とある。

人形: 仏(ふとぅき)い。人形(にんじょお)。

人形使い: 京太郎(ちょんだらあ)。やんざい。やんざやあ。漫才(まんざい)。

人間: 人間(にんじん)。

人間嫌い: 人姦(ちゅかしま)さあ。

人情: 人情(にんじょお)。

人情のある人: 肝持(ちむむ)ち者(むん)。

妊娠: 良(い)い期(ちい)。懐胎(くぇえてえ)。孵果報(すぃでぃがふう)。孵果報(す

ぃどぅうがふう)。

妊娠している人: 傾(かさ)ぎん人(ちゅ)。

妊娠する: 傾(かさ)ぎゆん。持(む)ちゅん。 ※かさぎゆんの語源が不明。とりあ

えず、傾(かし)ぐと関係のある語ということにする。

人参: 黄大根(ちでえくに)。 ※文字通り、黄色い人参のこと。赤いほうの人参は、ニ 

ンジンであろう。ニンジンシリシリーという料理がある。混効験集、乾巻:飲食に、

きたいこね、とある。

人数: 人数(にんず)。

人相(にんそお)。

人足(にんそく): 夫(ぶう)。人足(にんすく)。 ※人足が、ワープロで変換できない。

忍耐力: 握堪(にじでえ)。

大蒜(にんにく): 蒜(ふぃる)。

人夫(にんぷ): 夫(ぶう)。人夫(にんぷ)。 ※人夫も、ワープロで変換できない。

妊婦: 傾(かさぎ)ん人(ちゅ)。大腹(うふわた)あ。大腹者(うふわたむん)。

 

   ぬ

 

縫い上げ: 縫切(ねえち)り。 ※縫い上げは、子供の着物を、身長の伸びた後も着ら

れるように大きめに作り、肩と腰とに襞(ひだ)をとって縫い留めておくこと。

縫い取り: 貫(ぬ)ち物(むん)。 ※縫い取りは、刺繍(ししゅう)のこと。

縫い針: 着物縫(ちんのお)い針(ばあい)。着物縫(ちんのお)やあ針(ばあい)。

縫い目: 縫目(ねえみ)。

縫い物: 縫(のお)い物(むん)。

縫う: 縫(のお)ゆん。

糠(ぬか): 糠(ぬか)。 ※糠は、玄米などの穀類を精白する際に、表皮、種皮、外胚

乳などが砕けて粉となったもの。

糠喜び: 虚嬉(んなうっ)しゃ。

ぬかるみ: ぶとぅぶとぅう。泥(どぅる)ぐぁったい。ぐぇったい。じったい。じった

いぐぇったい。 ※この表現の豊かさから、ぬかるみが、いかに身近であったかが想

像できる。

貫(ぬき): 貫(ぬち)。 ※貫きは、建築または、工作物の貫木(ぬきぎ)のこと。

緯(ぬき): 緯(ぬち)。 ※緯(ぬき)は、織物の横糸のこと。

緯糸(ぬきいと): 緯(ぬち)。 ※緯糸は、横糸のこと。

抜き書き: 抜(ぬ)じ書(が)ち。

抜きんでる: 抜(ぬ)ぎゆん。抜(ぬ)ぎ出(んじ)ゆん。立(た)ち抜(ぬ)ぎゆん。

貫く: 貫(ぬ)ちゅん。

抜く: 抜(ぬ)じゅん。

脱ぐ: 外(は)ずぃゆん。脱(ぬ)じゅん。

拭(ぬぐ)う: 拭(ぬぐ)ゆん。濯(すす)ゆん。

抜け駆け: 先回(さちまあ)い。

抜け殻: 孵殻(すぃでぃがら)。孵(すぃでぃ)ぐる。

抜け毛: 髪(からじ)ぶちき。

抜ける: 引(ふぃ)ち成(な)ゆん。抜(ぬ)ぎゆん。

脱げる: 脱(ぬ)ぎゆん。

主: 主(ぬうし)。

ぬすっと: 盗人(ぬすどぅ)。

盗み食い: 盗人(ぬすどぅ)ん喰(ぐぇ)え。

盗む: 盗(ぬす)ぬん。

ぬた(料理名): ぬた。

布: 着(ち)り。布(ぬぬ)。

沼: 籠(くむ)い。

濡らす: 濡(ん)だしゅん。

ぬらぬら: ぬうらくぁあら。 ※ぬらぬらは、やわらかくて、すべりやすいさま。

塗りつける: 塗(な)すぃゆん。

塗り物: 塗(ぬ)い物(むん)。

塗り物屋: 塗(ぬ)い物屋(むんやあ)。

塗る: 塗(ぬ)ゆん。

ぬるい: 温(ぬる)さん。

ぬるま湯: 温(ぬる)っくぃ湯(ゆう)。

ぬるむ: 温(ぬる)ぬん。

ぬるめる: 温(ぬる)みゆん。

濡れ手: 湿(しった)い手(でぃい)。

濡れる: 濡(ん)でぃゆん。しぷたゆん。湿(しった)ゆん。

 

   ね

 

根: 根(にい)。

値: 値(にい)。

音: 音(にい)。

子(ね): 子(にい)。

寝汗: 冷汗(ふぃじゅるあし)。

寝息: 寝息(にいち)。

寝入り端: 寝(にん)じ端(はな)。

音色: 五音(ぐいん)。

ねえ: だあ。やあ。よお。さい。さり。たい。たり。

姉さん: あんぐぁあ。うんみい。

願い: 願(にげ)え。

願い事: 願(にげ)え事(ぐとぅ)。

願う: 願(にが)ゆん。

寝返り: く返(げえ)。く返(げえ)い。細返(くまげえ)い。

寝返りをうつ: く返(げえ)ゆん。うっちぇえゆん。

寝顔: 寝顔(にがう)。寝(に)んじ顔(がう)。

寝かせつける: 守(む)い寝(に)んしゆん。

寝かせる: 寝(に)んしゆん。

ネギ: びら。地(ずぃい)びら。

値切る: いぶゆん。 ※日本語の、いびるには、無理を言って困らせるという意味があ

る。関係がある語だと思う。

値切る人: いぶやあ。

猫: まやあ。まゆう。 ※熊本県菊池郡では猫を、まい、と言うそうである。

寝心地: 寝(に)んじ心地(ぐくち)。

寝茣蓙(ねござ): 敷(し)ち筵(むしる)。

猫舌: まやあ口(ぐち)。

猫背: 心屈(しんこお)ぐ。薄屈(うすこお)ぐ。

寝言: 寝言(にぐとぅ)。

寝込む: 打(う)ち草臥(くた)しゅん。

螺子(ねじ): 絡繰(からくい)。捩(にじ)り。心目(しんみ)。

ねじ伏せる: 捥(む)でぃ倒(とお)しゅん。

音締め: 弦矯(つぃんだ)み。 ※音締めは、三線などの弦を巻き締めて、調子を整え

  ること。

寝小便: 夜尿(ゆうしばい)。

捩(ね)じる: 捻(ふぃに)ゆん。捥(む)でぃゆん。 ※捥(も)ぐは、捩じって引

  っ張り取るという日本語である。

捩じれる: 捥(む)でぃゆん。

ネズミ: 上人(うぇんちゅ)。 ※琉球語は婉曲語のようである。発音は、えぇんちゅ、 

  えんちゅ、でもよさそうである。

ネズミ花火: 被縄小火薬(がんしなぐぁあひょおちゃく)。 ※被縄(がんしな)は、女

の人が頭に荷物を載せる時に、頭と荷物の間に敷いた丸い縄状のもの。形が確かに、 

小さいがんしなのようなので、がんしなぐぁあと言ったようである。

寝相: 寝(に)んじ様(ざま)。寝様(にざま)。

寝相の悪いこと: 寝逃(ににん)ぐぃい。

寝そべること: 長放(ながぼお)い。長放(ながぼお)やあ。長伸(ながぬ)び倒(と

お)り。

根太(ねだ): 床持(ゆかむ)ち。 ※根太は、床板を支える横木。琉球語のほうが意味

を推測しやすい。床持ちが悪いと、ぎしぎしと音を立てる。

妬(ねた)み: 裏歯痒(うらごお)さ。後妻(わあない)。後妻(わあねえ)。 ※日本

語では、後妻と書いて、うわなり、と読む。上に成るという意味らしい。後妻と嫉妬

はイコールの関係にあったようだ。

ねだる: 頼(たぬ)ぬん。

値段: 代値(でえに)。値(にい)。

寝違え: 寝(に)んじ違(ちげ)え、

熱: 熱(につぃ)。

根っから: 根(にい)から。

熱気: 熱(ふみ)ち。 ※熱(ほめ)く、という日本語がある。

根付く: 根付(にいづぃ)ちゅん。

根っこ: 根(にい)ぐい。

熱さまし: 発散薬(はっさんぐすい)。熱冷(につぃさ)まし。

熱心: 念(にん)。

熱心でない: 肝温(ちむぬる)さん。

熱心な人: 念為(にんしゃ)あ。

熱帯地方: 熱国(あつぃぐに)。

熱中する: 引傾(ふぃっかたん)ちゅん。傾(かたん)ちゅん。持(む)ち喰(くぁあ)

りゆん。染(すう)ぬん。

熱っぽい: 肌熱(はだあつぃ)さん。

熱病: 傷患(しょおかん)。

寝床: 座敷(ざしち)。

粘っこい: 黐(むち)さん。

ねばねば: ぶったくぁった。むちゃむちゃ。むっちゃいくぁったい。

粘りつく: 黐(むっち)ゃかゆん。

粘り強い: しぷさん。

ネビル(植物名): 根蒜(にいびる)。 ※ネビルは、野蒜(ノビル)ともいう。ヒガン

バナ科ネギ属の多年草。

寝不足: 寝(に)んじ不足(ぶすく)。

根太(ねぶと): 根太(にいぶた)あ。根太(にいぶとぅ)。 ※根太は、いわゆる、お

でき、の一種。にいぶたあを、おできと言うと、内地(ないちゃ)あ物言(むに)い、

と言われたものである。

寝坊: 寝坊虫(にいぶいむし)。寝坊(にぶや)あ。

寝ぼけること: 寝様(にざま)さ。

根ほり葉ほり: にいみちちみ。

寝間: 寝座敷(にざしち)。座敷(ざしち)。

ねまる: 煮溜(にたま)ゆん。 ※ねまるは、とじこもる、すわる、くつろぐ、などの

  意味であるが、ここでは、食物が腐るという意味である。

眠い: 寝(に)んじ欲(ぶ)しゃん。

ネムリグサ: 眠(に)ん眠(に)ん草(ぐさ)。 ※ネムリグサは、オジギソウのことで 

ある。学名は、mimosa pudicaである。pudicaはラテン語で内気な、という意味。中国

語では、含羞草。ラテン語と中国語は偶然の一致か。

眠る: 眠(に)んじゅん。

根本: 根本(にいむとぅ)。根肉(にいしし)。

寝物語: 寝(に)んじ物語(むぬがたい)。

寝る: 寝(に)んじゅん。

練る: 練(にい)ゆん。

寝忘れる: 寝(に)んじ触(ふ)りゆん。 ※寝忘れるは、眠り込んで、物事をし忘れ

ること。

念: 念(にん)。

年: 年(にん)。

念入り: 念入(にんい)り。

念入りに: 篤(とぅく)とぅ。

念願: 念願(にんぐぁん)。

年季: 年切(にんじ)り。 ※年季は、奉公人を雇う約束の期間。

年忌: 年忌(にんち)。

年決め: 年切(にんじ)り。

年切り: 年切(にんじ)り。

年始: 年頭(にんとぅう)。

年始回り: 年頭回(にんとぅうまあ)い。

年中: 年中(にんじゅう)。

年数: 年数(にんすう)。

念ずる: 念(にん)じゆん。

年代: 年代(にんでえ)。

年長: すぃいじゃ。年上(とぅしうぃい)。

年頭: 年頭(にんとぅう)。

年内: 年内(とぅしうち)。

年々: 年々(にんにん)。

念のために: とぅくとぅ。

年配: 年配(とぅしべえ)。年格好(とぅしかっこお)。

年賦: 年賦(にんぷ)。

年末: 年末(にんすぃい)。

念力: 念力(にんりち)。

 

   の

 

の(助詞): ぬ。すぃ。

野: 毛(もお)。 ※もおは、野原のこと。伝統的に毛の字が当てられる。

野遊び: 毛遊(もおあすぃ)びい。 ※もおあすぃびいは、現代で言えば、野外の集団

婚活にあたる。

農業: 畑仕口(はるしくち)。むづくい。 ※混効験集、坤巻:言語に、もつくり、とあ

  る。現代風に発音すると、むづくい、あるいは、むじゅくい、である。

農作物: 作(つく)い物(むん)。作(つく)いむづくい。

脳天: 顋門(ひゅうるち)。 ※幼児の頭蓋骨は、呼吸のたびに、ひよひよと動くらしい。

それを日本語で、ひよめき、琉球語で、ひゅうるち、と言う。

脳貧血: くくてぃみんぐぁあ。くくてぃみんぐぃ。

能弁: 弁口(びんくう)。 ※弁口(べんこう)は、弁舌、弁才と同じ意味の漢語。 

脳膜炎(のうまくえん): 頭傷患(つぃぶるしょおかん)。

農民: 作(つく)やあ。畑歩(はるあっちゃ)あ。畑為(はるしゃ)あ。地(じい)ん

人(ちゅ)。

逃す: 放(ふぃん)がしゅん。逃(ぬが)しゅん。

逃れる: 逃(ぬが)あゆん。

軒: 雨樋(あみだい)。

芒(のぎ): 虚殻(んなげえ)。 ※芒は、稲、麦などの殻にある堅い毛のこと。

軒下: 雨樋(あみだい)。

退(の)く: 退(どぅ)ちゅん。退(ぬ)ちゅん。退(すぃじ)ちゅん。

ノゲシ(植物名): 真青葉(まあおおふぁ)。 ※ノゲシは、キク科ノゲシ属の植物。花

  は、タンポポに似る。 

退(の)ける: 退(どぅ)きゆん。退(どぅ)きなしゅん。退(ぬ)きゆん。退(しじ

  ら)かしゅん。

除(の)ける: 除(どぅ)きゆん。除(どぅ)きなしゅん。除(ぬ)きゆん。除(しじ

  ら)かしゅん。

のこぎり: 鋸(ぬくじり)。

残す: 残(ぬく)しゅん。

残らず: 一斉成(いっそおなあ)でぃい。一斉(いっそお)じいちい。

残り: 残(ぬく)い。

残り物: 残(ぬく)い物(むん)。

残る: 残(ぬく)ゆん。

熨斗(のし): 熨斗(ぬし)。

乗せる: 乗(ぬ)しゆん。

載せる: 載(ぬ)しゆん。

覗(のぞ)き見: 隙見(すうみい)。

覗(のぞ)く: 憚(ぬば)がゆん。 ※この場合の覗くは、ちょっと顔をだす、という 

  意味である。

望み: 望(ぬず)み。所望(しゅもお)。

望み通り: 望(ぬず)み通(どぅう)い。

のたうつ: しんぷいしゅん。

後(のち): 後(あとぅ)。

のちのち: 後後(あとぅあとぅ)。

のっぽ: 二断(たちゃあ)いい。高(たか)はじい。高相(たかそお)。高相(たかそお)

なあ。高相(たかそお)にい。 ※すべて、あまり良い響きの言葉ではない。昔は、

今とは違って、背が高いというのは、かっこいいものではなかったようである。

喉(のど): 喉(ぬうでぃい)。

のどか: 長閑(ぬどぅか)。

のどびこ: 喉豚小(ぬうでぃいうぁあぐぁあ)。 ※のどびこは、口蓋垂(こうがいすい)

のこと。別名、のどちんこ、である。確かに、ちんこのような形である。琉球語の小

豚は、愛嬌のある表現ということにしておこう。聞くところによると、のどちんこは、

人体の部品としては、なくても全然問題がないそうである。

喉仏(のどぼとけ): 喉瘤(ぬうでぃいぐうふ)。 ※火葬の際の骨拾いで実際に見たこ

  とがあるが、喉仏は、確かに仏様の形がしている。

のに(助詞): むぬ。なぎいなあ。

ののしる: 言(い)い切(ち)ゆん。

伸ばす: 伸(ぬ)ばしゅん。

延ばす: 延(ぬ)ばしゅん。

野原: もお。

伸び: 伸(ぬ)び。伸(ぬう)び。

伸び縮み: 伸(ぬ)び縮(ちぢ)み。

延び延び: 延々(いんいん)。延(ぬ)び延(ぬ)び。

延び延びになる: 引(ふぃ)ちゅるゆん。引(ふぃ)ちゅるうゆん。

伸びる: 伸(ぬ)ぶん。

延びる: 延(ぬ)ぶん。

野蒜(のびる): 根蒜(にいびる)。 ※ネビルを参照。

延べる: 延(ぬ)びゆん。

伸べる: 伸(ぬ)びゆん。

のぼせ: 逆上(ぬぶし)。 ※のぼせは、頭がぼうっとすること。

のぼせる: 逆上(ぬぶし)ゆん。

上り: 上(ぬぶ)い。

登り: 登(ぬぶ)い。

上り下り: 上(ぬぶ)り下(くだ)い。 ※二見情話に、辺野古崎坂ぬ上い下いよ、と

ある。坂は、ひら、と読む。

上る: 上(ぬぶ)ゆん。

登る: 登(ぬぶ)ゆん。

蚤(のみ): 蚤(ぬみ)。

鑿(のみ): 鑿(ぬみ)。

飲み薬: 飲(ぬ)み薬(ぐすい)。

飲み込む: 飲(ぬ)み込(く)ぬん。

飲み友達: 飲(ぬ)み同志(どぅし)。

飲み水: 飲(ぬ)み水(みずぃ)。飲(ぬ)ん水(みずぃ)。

飲む: 飲(ぬ)ぬん。

ノヤシ(植物名): 檳榔(びんろお)。 ※ノヤシは、ヤシ科の植物。

野山: 野山(ぬやま)。

野良犬: 山犬(やまいん)。

のらくら: だらあくぁらあ。

野良猫: 山猫(やままやあ)。

糊: 糊(ぬい)。

海苔: 海苔(ぬい)。 ※おもろさうし・1193に、のり、とある。

乗り気になる: 夙立(ちとぅだ)ちゅん。

祝詞(のりと): 御崇(うたか)び。 ※混効験集、乾巻:言語に、おたかべ、とある。

  おもろさうしでは、崇(たか)へ、とう形で頻出する。

乗り物: 乗(ぬ)い物(むん)。

乗る: 乗(ぬ)ゆん。

載る: 載(ぬ)ゆん。

ノロ(祝女・巫女): 宣(ぬる)。宣(ぬうる)。 ※宣(の)る、告(の)るは、古事記

にも見える古い言葉である。沖縄では、神の言葉を告げる人をノロという。

鈍(の)い: 鈍(どぅん)なさん。鈍(にい)さん。鈍(ぬる)さん。

呪い: 生(い)ち霊(ざま)。呪(ぬれ)え言(ぐとぅ)。

狼煙(のろし): 火立(ふぃいた)てぃい。

のろのろ: にっちりけえちり。

のろま: 鈍(どぅん)な者(むん)。とぅとぅるう。

のんだくれ: 酒上戸(さきじょおぐう)。割(わ)り甕(があみ)。

のんびりと: 和和(やぐやぐ)とぅ。緩(ゆる)いとぅ。