ま
間: 合(え)え。目(みい)。たばさ。
魔: 嫌(や)な物(むん)。
まあ; ちぇえ。ええ。はあ。いっちゃあ。
真新しい: 新(みい)さん。
真新しい物: 真新物(さらみいむん)。
舞い: 舞(もお)い。
枚: 切(ち)り。枚(めえ)。
毎朝: 毎朝(めえあさ)。
迷子: じゃあま。
埋葬する: 葬(ほおむ)ゆん。
毎月: 月(つぃち)ぬ数(かあじ)。毎月(めえづぃち)。
舞戸: 舞戸(めえじゅ)。 ※舞戸は、開き戸のこと。
毎日: 日々(ふぃび)。毎日(めえにち)。
毎年: 毎年(めえにん)。
毎晩: 毎夜(めえゆる)。
参る: 寄(ゆ)しりゆん。
舞う: 舞(もお)ゆん。
前: 前処(まあどぅ)。前(めえ)。
前足: 前足(めえびしゃ)。
前帯: 前帯(めえううび)。
前貸し: 前貸(めえが)し。
前金(まえがね): 前銭(めえじん)。 ※前金(まえがね)は、前金(まえきん)と同
じ。
前髪: 前髪(めえがんとぅ)。
前髪が乱れた人: 前髪(めえがんた)あ。
前借り: 前借(めえが)い。
前側: 前面(めえづぃら)。
前金(まえきん): 前銭(めえじん)。
前歯: 前歯(めえば)。前歯(めえばあ)。
前払い: 前払(めえばれ)え。
前日: 前日(めえふぃ)。
前前: 前前(めえめえ)。
前もって: 前兼(めえか)にてぃ。
真苧(まお): 真麻(まあうう)。 ※真苧は、苧(からむし)の異称で、イラクサ科カ
ラムシ属の多年生植物。植物繊維をとる。おもろさうし・855に、まおのいと、と
ある。
負かす: 押(う)し曲(ま)ぎゆん。
魔風(まかぜ): 行合(いちぇ)え風(かじ)。嫌(や)な風(かじ)。 ※魔風は、悪魔
が吹かせ、人をさそうという風。
勾玉・曲玉(まがたま): 加玻羅玉(があらだま)。 ※混効験集、乾巻:器材に、たま
かはら、とある。おもろさうし・1004に、かわら、とある。
賄(まかな)い: 賄(まかね)え。飯受(みしう)き。
罷(まか)り出(い)でたる者は: 出(でぃ)よおちゃる者(むぬ)や。
※組踊で、役者が登場する時に言う決まり文句。現在のように、ナレーターが紹介す
るスタイルでもあればいいのだが、役者自らが、自分自身を紹介するのである。これ
によって、組踊には、いっさいナレーションがいらないということになる。
曲がり角: 曲(ま)がい口(ぐち)。
曲がり口: 曲(ま)がい口(ぐち)。
曲がり道: 曲(ま)がやあ。
曲がる: 曲(ま)がゆん。
薪(まき): 焚(た)ち木(じ)。焚物(たむん)。 ※混効験集、乾巻:器材に、たもの、
とある。
蒔絵(まきえ): 沈(ちん)。 ※蒔絵は、漆工芸の技法の一つ。琉球語のちんは、沈金
のことと思われる。
真北: 真北(まにし)。
まき散らす: 撒(ま)ち放(ほお)ゆん。
巻きつける: 絡(から)まちゅん。
紛らわす: 紛(まん)ぐぁしゅん。
間切(まぎり): 間切(まじり)。 ※間切は、琉球王国時代の行政区分で、現在の市町
村に相当する。ちなみに、離島をのぞく、沖縄本島北部の間切は、国頭、大宜味、久
志、羽地、今帰仁、本部、名護、金武の各間切である。
間切長: 間切長(まじりちょお)。 ※間切長は、廃藩置県後に置かれたもの。
間切と同じ名の村: 同村(どぅうむら)。 ※たとえば、沖縄本島北部の離島を除く間切
で、同村のあるのは、久志、名護、金武である。
紛れる: 紛(まじ)りゆん。
巻き藁(わら): 巻(ま)ち藁(わら)。 ※巻き藁は、藁を巻きたばねて、弓の練習な
どの的に用いるもの。
巻く: 巻(ま)ちゅん。
蒔(ま)く: 蒔(ま)ちゅん。下(う)るしゅん。
幕: 幕(まあく)。幕(まく)。
枕: 枕(まっくぁ)。
枕箱: 枕箱(まっくぁばく)。 ※枕箱は、枕を入れておく箱、あるいは、箱型の枕のこ
とらしい。
枕許(まくらもと): 枕上(まくがん)。枕上(まっくぁぐぁん)。
マクリ(植物名): なちょおら。 ※マクリは紅藻の一種で、海人草(カイニンソウ)と
も言う。回虫の駆虫剤として有名。
まくり上げる: かなぎゆん。 ※日本語のかなぐると関係のある語か。
マグロ: 秋(あち)ぬ魚(いゆ)。赤秋(あかあち)。白秋(しるあち)。
負け: 負(ま)き。
髷(まげ): 髷(まぎ)。
負け戦: 負(ま)き戦(いくさ)。
曲物(まげもの): 曲(ま)ぎ。 ※曲物は、杉や檜(ひのき)などを薄い板状にし、そ
れをまげて、桶のように丸い器に作ったもの。たとえば、秋田の曲げわっぱは、曲物
である。
負ける: 休(やすぃ)みゆん。負(ま)きゆん。
曲げる: 曲(ま)ぎゆん。押(う)し曲(ま)ぎゆん。
孫: 孫(んまが)。
真心: 真心(まぐくる)。真実(しんじつぃ)。
誠: 誠(まくとぅ)。実(じつぃ)。
まごまご: とぅうぬうまあぬう。
勝る: 勝(まさ)ゆん。
まし: まし。 ※ないよりまし、などの、まし、である。
呪(まじな)いの文句: 按司婿(あじむく)。 ※あじむく、と唱えれば、たいてい間に
合う。
真正面: 真二向(またんか)あ。
混じる: 混(ま)んちゅん。混(ま)じりゆん。
交わり: 交(まじ)わい。
交わる: 交(あ)じゆん。交(まじ)わゆん。
桝(ます): つぃいが。
増す: 加増(かじゅう)ゆん。
まず: 先(ま)じぇえ。先(ま)じ。
まずい: にいさん。 ※遅いことも、にいさん、と言う。どういう関係だろう。
真澄鏡(ますかがみ): 真澄鏡(ますかがみ)。 ※真澄鏡は、よく澄んでいる鏡。
桝掻(ますか)き: 斗掻(とおか)ち。 ※桝掻きは、桝をならすために用いる道具。
枡目(ますめ): つぃいが。桝(ますぃ)。
籬垣(ませがき): 籬(まし)。籬垣(ましがち)。 ※籬垣は、竹や木などで作った低く
目のあらい垣。
まぜこぜ: ちゃあふぃいふぃい。ちゃあふぃいとお。混(ま)んちゃあふぃんちゃあ。
ませた人: くさぶっくぁあ。
混ぜ物: 混(ま)じり物(むん)。
ませる: くさぶっくぃゆん。
混ぜる: きじゅん。混(ま)んくぃゆん。混(ま)じゆん。
股(また): 股(また)。股橋(またばし)。
また: 又(また)。
まだ: 未(まあ)だ。未(なあ)だ。未(なま)でぃい。
またいとこ: 又従妹(またいちゅく)。
又貸し: 又貸(またが)らし。
股ぐら: 股橋(またばし)。
真竹(まだけ): 唐竹(からたき)。 ※真竹は中国原産の竹。
まだしも: すうすう。
襠(まち): 挟(はさ)。脇隅(わちすぃび)。 ※襠は、衣服の布の幅の足りない部分に、
別に補い添える布。
町: 町(まち)。 ※琉球語の町は、おおむね、市場のことを言うようである。
待合室: 控(ふぃけ)え所(じゅ)。
待ち明かす: 待(ま)ち明(あ)かしゅん。
待ち受ける: 待(ま)ち受(う)きゆん。
間違い: 間違(ばっぺ)え。違(ちげ)え目(み)。間違(まちげ)え。
間違う: 間違(ばっぺ)えゆん。間違(まちが)ゆん。間違(まちげ)えゆん。見違(ま
み)じゅん。
間違える: 上語に同じ。
待ち遠しいこと: 待(ま)ち長(なげ)えさ。
待ちぼうけ: 虚待(んなま)ち。
町回り: 町回(まちまあ)い。
松: 松(まあつぃ)。 ※おもろさうしに登場する松。こまつ、なてまつ、なみまつ、ひ
かさまつ、わかまつ。ひかさまつは、日傘のような形をした松のことらしい。形より
も、実際に日傘の役目をしたのだろう。
待つ: 待(ま)ちゅん。
真っ赤: 真赤(まっかあら)。
松笠(まつかさ): 松笠(まあつぃかあさ)。 ※松笠は、松の木の果実(のようなもの)。
まつふぐり、まつぼっくり、まつかさぼっくり、ちちり、とも言う。まつぼっくりは、
まつふぐりが変化した形である。ふぐりは、陰嚢(いんのう)のこと。松笠は、英語
では、pineappleと言っていたが、パイナップルという果物を指す名前となり、代わり
にconifer coneと言う。appleは果実のことであり、pineは松のことである。
松風: 松風(まつぃかじ)。 ※松風は日本一薄いと言われる熊本名産の和菓子をさすと
思われるが、同名で京都に味噌を使ったカステラのような和菓子もあり、実際どのよ
うな和菓子かは、私にはわからない。興味のある方は御教えください。
真っ黄色: 真黄色(まっちいる)。
真っ暗なところ: 暗隅(くらしん)。
真っ暗闇: 大暗隅(おおぐらしん)。
真っ黒: 真黒(まっくうる)。
真っ黒なもの: 真黒(まっくうる)う。
睫毛(まつげ): 睫毛(まつぃぎ)。 ※沖縄のことわざ、慶良間(きらま)あ、見(み
い)ゆすぃが、睫毛(まつぃげ)え、見(みい)らん。
末座: 外(はじ)し。
真っ最中: 番時(ばんじ)。
真っ青に: 青(おお)ってえん。
真っ盛り: 番時(ばんじ)。 ※番時という日本語がありそうであるが、これは当て字で
ある。
真っ先: 真先(まっさ)ち。
真っ白: 真白(まっしいいら)。
真っ白なもの: 真白(まっしいら)あ。
まっすぐ: 真直(まっすぃい)ぐ。全(まっと)おば。
全く: 全(むっ)とぅ。諸(むる)。
全(まった)し: 全(また)さん。
マッチ: 付(つぃ)き竹小(だきぐぁあ)。 ※付け竹は、竹の先端に硫黄などが塗って
あったそうで、まさにマッチである。
松並木: 並松(なんまつぃ)。 ※おもろさうし・281に、なみまつ、とある。普天間
飛行場の滑走路は、戦前、松並木であったそうだ。
松葉: 松葉(まあつぃばあ)。松(まつぃ)ぬ葉(ふぁ)。
松林: 松(まあちゅ)う。
末尾: 尻(つぃび)。
松脂(まつやに): 松(まあつぃ)ぬ脂(あんだ)。松脂(まつぃやに)。 ※松脂は、松
の樹幹から分泌する樹脂。用途が多い。
祭り: 祭(まつぃ)り。御崇(うたか)び。御祭(うまち)い。 ※おたかべは、混効
験集、乾巻・言語に見える。
茉莉(まつり)(植物名): 茉莉(むいくぁ)。 ※茉莉花(まつりか)は、ジャスミンの
こと。
茉莉の花: 茉莉花(むいくばな)。
まつる: 祀(まつぃ)ゆん。
まつわりつく: 絡(から)くゆん。纏(まつぃぶ)ゆん。引合(しちゃあ)しゅん。
まつわりつくこと: 纏(まつぃぶ)い。引(し)ち振(ふ)い。
まつわりつくさま: 掛(か)かい縋(すぃが)い。絡(から)くい纏(まつぃぶ)い。
まで: までぃ。
的: 的(まとぅ)。
円居(まどい): 転回居(ごおまあい)い。 ※満島ひかり主演のテレビドラマ「Woman」
の初回で、ドボルザークの「遠き山に日は落ちて」の歌詞の最後のほうにある、「まど
いせん」はどういう意味かと聞くシーンがあった。
惑う: 惑(みんぐぃ)ゆん。
まとまる: 纏(まる)ぬん。纏(まとぅま)ゆん。
まとめ上げる: 綴(とぅじ)みゆん。
まとめ役: 括(くく)い役(やく)。
まとめる: 纏(まとぅみ)ゆん。
まどろむ: とぅるみかしゅん。
惑わされる: 惑(まんぐぃ)ゆん。
惑わす: 迷(まやあ)しゅん。惑(まんぐぁ)しゅん。雑(みんぐぁ)しゅん。
まな板: 俎板(まるちゃ)。
まなじり: 目(みい)ぬ尻(つぃび)。
間に合う: 欠(か)き合(ああ)ゆん。
間に合わせ: 外(はん)し。
間に合わせる: 欠(か)き合(ああ)しゅん。目喰(みいくぁあ)しゅん。
免れる: 逃(ぬがあ)ゆん。
間抜け: 大性(うふしょお)。大性者(うふしょおむん)。唐生姜(とおしょおがあ)。
真似: 風(ふう)なあ。真似(まに)。似(ねえ)び。
招き: 使(つぃけ)え。
招く: 招(まに)ちゅん。招(まぬ)ちゅん。
まばたき: 目打(みいう)ち。
まばゆい: 光(ふぃちゃ)らさん。光(ふぃちゃ)るさん。目光(みいふぃちゃ)らし
ゃん。
瞼(まぶた): 目皮(みいがあ)。
目縁(まぶち): 目(みい)ぬ縁(ふち)。
真帆(まほ): 真帆(まふ)。 ※真帆は十分に展張された帆。真帆(まほう)は、おも
ろさうし・832に見える。
魔法: 魔法(まふう)。
儘(まま): 儘(まま)。
ままごと: 夫婦小為(みいとぅんだぐぁあせ)え。御振舞(うふるめ)んたあ。
まみく(植物名): まみく。 ※まみくは、クスノハカエデという植物のことらしいが、
Wikipediaに見当たらない。
真水: 雨水(あまみずぃ)。
真南: 真南風(まふぇえ)。
真向い: 真向(まむこ)お。真手向(またんか)あ。手向(たんか)あ。
真結び: 真結(まあむすぃび)い。
豆: 豆(まあみ)。
まもなく: 軈(やが)てぃ。
魔物: 嫌(や)な物(むん)。紛物(まじむん)。
守り: 守(まむ)い。
守り仏: 御掴(うかつぃ)み。 ※守り仏は、守り本尊とも言う。英語で言えば、guardian
angelであろうか。
守る: 守(まむ)ゆん。
眉(まゆ): 眉(まゆ)。眉毛(まゆぎい)。
眉根: 眉根(まぬく)。
迷う: 惑(むどぅる)ちゅん。辿(たとぅる)ちゅん。
魔除け: 物除(むんぬ)き物(むん)。報札代(ふうふだがあ)い。
真夜中: 夜夜中(ゆるゆなか)。真夜中(まゆなか)。
迷わす: 迷(まやあ)しゅん。
鞠(まり): 鞠(まあい)。
鞠(まり)つき: 鞠打合(まあいううちぇ)え。
鞠投げ: 鞠投合(まああいねぎえ)え。
丸: 丸(まる)。
丸い: 丸(まる)さん。
丸い物: 丸(まる)う。
丸木舟: 刳(く)い舟(ふに)。さばに。すぃんに。すぃんに小(ぐぁあ)。
丸くする: 丸(まる)みゆん。
丸くなる: 丸(まる)ぬん。
円膳(まるぜん): 丸御膳(まるうじん)。
丸出し: 丸張(まるば)い。丸出(まるんじゃ)し。
まるで: まる。
丸のみ: 丸呑(まんぬ)ん。
丸裸(まるはだか): 赤裸(あかはだか)。丸裸(まるはだか)。 ※蛇足ではあるが、漢
字の赤には、何もない、という意味がある。赤心、赤貧、赤子(せきし)など。
丸盆: 丸盆(まるぶん)。
丸髷(まるまげ): 真結(まあゆう)いい。 ※丸髷は、日本髪で、結婚している女の髪
の結い方。いただきに、楕円形でやや平たいまげをつけたもの。沖縄のまあゆういい
はどういうスタイルなのか。
まるまる: 満丈(まんたき)い。満丈(まったき)い。満丈(まって)えん。丸々(ま
るまる)う。
まるめる: つぃくなあしゅん。丸(まる)みゆん。 ※つぃくなあしゅんは、紙などを
しわくちゃにまるめること。
まる忘れ: 諸忘(むるわすぃ)い。
希(まれ): 稀(まり)。稀稀(まりまり)。稀返(まるけえ)てぃ。偶(たま)。偶々(た
まさか)。 ※まれまれは、伊勢物語・23に見える。たまさかは、万葉集2396に
見える。
希(まれ)な: 稀(まり)ねえ。
希(まれ)には: 稀(まね)え。
回す: 回(まあ)しゅん。廻(みぐら)しゅん。混(みんぐぁ)しゅん。
真綿: 綿糸(みんし)。
回り: 回(まあ)い。回(まあ)る。廻(みぐ)い。前(しら)あ後(くしゃ)あ。
回り灯籠(どうろう): 廻(みぐ)い灯籠(どぅうるう)。 ※走馬燈は、回り灯籠のこ
とである。
回り持ち: 臼(うし)い回(まあ)るう。臼(うし)い回(まあ)しい。 ※臼を一人
で回すのは大変な仕事なので順番に交代で回した、と解釈した。
回る: 回(まあ)ゆん。廻(みぐ)ゆん。混(みんぐぃ)ゆん。
万: 万(まん)。
万一: 万一(まんいち)。
満開になる: 咲(さ)ち切(ち)ゆん。咲(さ)ち切(ち)りゆん。咲(さ)ち盛(さ
け)えゆん。
満開の時期が過ぎる: 咲(さ)ち退(すぃ)りゆん。
万歳(まんざい): 京太郎(ちょんだらあ)。やんざい。やんざやあ。万歳(まんざい)。
※万歳は、千秋万歳をことほぐ意で、新年を祝う歌舞。また、その歌舞をする者。
満作: 満作(まんさく)。 ※満作は、豊作のこと。
饅頭(まんじゅう): 饅頭(まんじゅう)。
満足: 重畳(ちょおじょお)。
満足する: 肝満(ちむふ)じゅん。
万代(まんだい): 万代(まんでえ)。 ※万代(まんだい)は、万代(ばんだい)と同
じ。
真ん中: 真(ま)ん中(なか)。中心(なかじん)。
万人: 万人(まんにん)。
万年: 万年(まんにん)。
曲鉢(まんぱち): 苧小笥(ううぐち)。 ※ううぐちは、績(う)んだ麻糸をためる桶
(おけ)。績むは、麻または苧(お)などを細く裂いて、長くあわせてよること。実際
のううぐちを見たことのある人がいるかもしれない。なお、まんぱちは、愛知県など
で使われる方言のようである。
まんま(御飯の幼児語): まんまん。
まんまる: 真(ま)ん丸(まる)。
まんまるく: 丸(まっ)てえん。
万力(まんりき): 万力(まんりち)。 ※万力は、工作物を二個の口金の間にはさんで
固定する工具。
み
実: 木(きい)ぬ成(な)い。実(みい)。むっくう。成(な)い。
身: 胴(どぅう)。
巳(み): 巳(みい)。
箕(み): 箕(みい)ぞおきい。
見誤り: 見誤(みいばっぺ)え。
見誤る: 見病(みいやん)じゅん。
見出す: 目付(みいつぃ)きゆん。目出(みいんじゃ)しゅん。
身請けする: ゆふぃゆん。胴代入(どぅうしるい)りゆん。 ※身請けは、身代金を支
払って、身をひかせること。
身動き: 立(た)ち動(うぃい)ち。動(んじゅ)ち走(は)い。動(んじゅ)ち戻(
むどぅ)るち。
身動きする: 動(んじゅ)ちゅん。
見失う: 目失(みいうしな)ゆん。
身売り: 胴売(どぅうう)い。
見え: 見(み)し栄(ふぁ)。
見える: 見(みい)ゆん。
見送り: 見送(みいうく)い。
見落とし: 見落(みいうとぅ)し。
見落とす: 見落(みいうとぅ)しゅん。
見覚え: 見覚(みいうぶ)い。
見覚える: 見覚(みいうび)ゆん。
見下ろす: 見下(みいうる)しゅん。
見終わる: 見果(みいは)てぃゆん。
見返す: 見返(みいけえ)しゅん。
見限る: 見切(みいち)ゆん。
磨き賃: 栄(ふぇえ)し手間(でぃま)。 ※磨き賃は、靴を磨いた時の駄賃のことか。
磨く: 栄(ふぇえ)しゅん。出(んじゃ)しゅん。仕出(すぃだ)しゅん。
見かけ: ばじょお。見栄(みいば)。見栄(みいふぁ)。見掛(みか)き。
見かけがよいこと: ばじょお。
味方: 味方(みかた)。
三日月: 三日月(みかづぃち)。
身勝手: 胴勝手(どぅうがってぃ)。
身構える: 為参(すぃめえ)ゆん。
身軽な: 胴軽(どぅうがっ)さん。
身代わり: 身代(みがわ)い。
ミカン: 蜜柑(みかん)。
蜜柑水(みかんすい): 蜜柑水(みかんすぃい)。 ※いわゆる、オレンジジュースでは
なく、砂糖と着色料と香料を使用した清涼飲料水のことだろう。コンビニにもおいて
ある。
右: 握(にじ)り。 ※にじりは、握るほうの手、つまり、右手のことである。日本語
のみぎも、にぎが変化した形だそうである。こうした方言の中にもともとの語源を見
ることができる場合もある。
見聞き: 見(みい)ない聞(ち)ちない。見(みい)なり聞(ち)ちなり。
見切り品: 売切(うっち)り。 ※売り切る品で、見切り品である。
三切れ: 三切合(みちゃあい)。 ※一切れ、二切れは、ワープロでただちに変換できる
が、みきれは、出てこない。あまり使わない言葉ということか。
見極める: 見極(みいちわ)みゆん。
見くびる: うせえゆん。
見比べる: 見合(みいああ)しゅん。
見苦しい: 見苦(みぐる)しゃん。見(みい)ちゃくん無(ねえ)ん。見(みい)とお
ん無(ねえ)ん。
三毛猫: 三毛猫(みきいまやあ)。
眉間(みけん): 目(ま)ぬく。
巫女(みこ): ゆた。宣(ぬう)る。
御心(みこころ): 御肝(うじむ)。 ※、おきも、おぎもは、おもろさうしの頻出語で
ある。
御輿(みこし): 御輿(うくし)。
見事: 見事(みぐとぅ)。
見事に: 清(ちゅ)らあく。
見込み: 目付(みつぃ)き。見込(みく)み。目立(みた)てぃ。
見込み違い: 目付(みつぃ)き違(ちげ)え。
見込む: 見込(みく)ぬん。
身ごもる: かさぎゆん。
岬(みさき): 岬(みさち)。崎(さち)。
見下げる: 見下(みいさ)ぎゆん。
見定めること: 見取(みとぅ)い。
短い: 短(いんちゃ)さん。
短いもの: 短(いんちゃ)あ。
身支度: 支度(したく)。
身支度する: すがゆん。
惨(みじ)めなこと: 哀(あわ)り。
みじめなさま: 濡(ん)でぃかあ。
見知る: 見知(みいし)ゆん。
身じろぎ: 立(た)ち動(うぃい)ち。
御簾(みす): 簾(すぃだい)。 ※おもろさうし・1544に、たますたれ、とある。
水: 水(みずぃ)。ぶうぶう(小児語)。
水遊び: 水持(みずぃむ)たあん。
水浴び: 御済(うすぃ)まし。 ※水浴びは、沐浴(もくよく)のことで、水でさあー
っと済ませるというニュアンスであろう。
水浴びをする: 浴(あ)みゆん。 ※沖縄は、熱い風呂に入るという習慣がなかったの
で、(現在もだいたいそうであろう)、「風呂に入る」とは言わずに、「あみゆん」と言
っていた(言っている)。
水洗い: 水洗(みずぃあれ)え。
水入れ: 水入(みずぃい)り。 ※水入れは、硯にさす水を入れておくための器。水差
し、水滴がふつうか。
水色: 水色(みずぃいる)。
鳩尾(みずおち): 肝口(ちくぐち)。
水音: 水音(みずぃうとぅ)。
水鏡: 水影(みずぃかあがあ)。 ※水鏡は、水面に顔や姿などうつして見ること。大・
今・水・増の水鏡ではない。
水掛け論: 水撥(みずぃは)に合(え)え。
水嵩(みずかさ): 水丈(みずぃだき)。
見透かす: 見汲(みいく)ぬん。
水甕(みずがめ): 半胴(はんどぅう)。半胴甕(はんどぅうがあみ)。半胴甕(はんどぅ
うがみ)。水甕(みずぃがみ)。
身すがら: 身素殻(みすぃがら)。 ※身すがらは、荷物などを持っていないこと。着の
身着のままなこと。
水切り: とんとんみい。 ※この場合の水切りは、石を水面に投げ、水面を切って飛ば
せる遊びのこと。これは、何度もジャンプさせるのがうまい人。私はせいぜい二度ぐ
らいが精一杯である。私の祖母は、有明海のムツゴロウをとんとんみいと呼んでいた。
いわゆる、トビハゼのことをそう言うらしい。
水草: 浮草(うちぐさ)。
水薬: 水薬(みずぃぐすい)。 ※水薬は、水にとかした薬。
水車(みずぐるま): 水車(みずぃぐるま)。 ※水車(みずぐるま)は、水車(すいし
ゃ)のことである。
水差し: あん瓶(びん)。
水姓(みずしょう): 水姓(みずぃしょお)。 ※水性は、五行説でいう水の性質。
見ず知らず: 見(み)じ知(し)らじ。
水たまり: 水溜(みずぃた)まい。
水溜(みずだ)め: 水棚為入(みんたなすぃい)り。
水っぽくなる: 淡(あふぇえ)ゆん。
水鉄砲: 水撥(みずぃは)にい。
見捨てる: 見捨(みすぃ)てぃゆん。
壬(みずのえ): 壬(みんにい)。
水の子: 水(みん)ぬ子(くう)。 ※水の子は、日本国語大辞典に載っていない。祭祀
の際、なまのまま小さく四角に切って施餓鬼(せがき)用として供える野菜のこと。
癸(みずのと): 癸(みんぬとぅ)。
水洟(みずばな): 水鼻垂(みずぃはなだ)い。
水引: 水引(みずぃふぃ)ち。 ※水引は、進物用の包み紙などを結ぶのに用いる。
水ぶくれ: 水膨(みずぃぶく)るう。
水篩(みずぶるい): 水嚢(すぃいのお)。 ※水篩は、水を切るための目の細かい篩(ふ
るい)。
水疱瘡(みずぼうそう): 水瘡(みずぃがさ)。水瘡(みずぃがさあ)。 ※水疱瘡は、子
供の皮膚病。
みすぼらしい: 見苦(みぐる)しゃん。
みすぼらしいこと: さっこお。しくしく。すぃくたいかあたい。しぴたいかあたい。
みすみす: 見(み)る見(み)る。見(み)すぃが見(み)すぃ。
みずみずしい: 水(みずぃっ)てえん。
店: 町屋(まちや)。
見せかけ: 見(み)し栄(ふぁ)。
見せびらかすこと: うんでえかあ。 ※子供が自分のものを人にひけらかすことを、う
んでえかあ、と言う。うんでえは、ほら、と相手にものを見せる時の言葉。
味噌: 味噌(んす)。
溝: 溝(んんじゅ)。溝(んじゅ)。
鳩尾(みぞおち): 肝口(ちむぐち)。胸口(んにぐち)。落(う)とぅし。
見損なう: 見外(みいは)んしゅん。見病(みいやん)じゅん。
味噌菜(みそな): 味噌菜葉(んすなばあ)。 ※味噌菜は、日本国語大辞典に載ってい
ない。Wikipediaでも見当たらない。不断草(フダンソウ)のことである。
ミソハギ(植物名): 御精霊橋(うしょおろおはあし)。 ※ミソハギは盆花としてよく
使われる。精霊が通る橋のイメージにしたが正しいかどうか。
満たす: 満(み)ちゆん。満(み)たしゅん。
乱す: 打散(んじゃ)らかしゅん。
見立て: 目付(みつぃ)き。見立(みた)てぃ。
見立てる: 目成(みいな)ゆん。
御霊: 御精(うしじ)。
乱れ: 乱(みだ)り。んじゃり。
乱れる: 乱(みだ)りゆん。んじゃりゆん。
道: 道(みち)。
道草: 道寄(みちゆ)らり。
満ち潮: 満(み)ち潮(しゅう)。
道すがら: 道(みち)すぃがら。
満ち足りる: 足(た)らあゆん。
道連れ: 道連(みちづぃ)り。
道端: 道端(みちばた)。
導く: 導(みちび)ちゅん。
道普請(みちぶしん): 道作(みちじゅく)い。
満ちる: 満(み)ちゅん。満尽(みっちゃ)かゆん。
蜜(みつ): 蜜(みつぃ)。
三日: 三日(みちゃ)。三日(みっちゃ)。三日(みっか)。
三つ角: 三(み)つぃぐやあ。
三口(みつくち): すぃべえ。 ※三口の意味は国語辞典を参照。
見付ける: 見当(みいあ)てぃゆん。見付(みいつぃ)きゆん。見出(みいんじゃ)し
ゅん。
三つ子: 三(み)つぃん子(ぐぁ)。三(みい)ちゅう。
密告: 申上(もおしゃ)ぎ。
密集する: 群集(ぐじゅ)むゆん。
三つ: 三(みい)つぃ。
密通: 忍(しぬ)び。 ※密通は、現代風に言えば、不倫。芸能人、政治家などが、新
聞・テレビをにぎわしている。
密通している人: 具成(ぐうな)い者(むん)。
密通する: 具成(ぐうな)ゆん。
みっともない: 見(みい)ちゃくん無(ねえ)ん。見(みい)とおん無(ねえ)ん。
三つ葉: 三(み)つぃ葉(ば)。
密封する: 喰(くぃ)い付(つぃ)ゆん。
三つ星: 三(み)つぃ星(ぶし)。 ※三つ星は、オリオン座の中核部に並列する三つの
輝星を言うようである。
見つめる: 目付(みいつぃ)きゆん。
見積り: 積(つぃむ)い。水盛(みずぃむ)い。
見積もる: 積(つぃ)むゆん。
三つ割 : 三切割(みちゃあ)い。三(み)つぃ割(わ)い。三(み)いつぃ割(わ)
い。
見て取る: 見取(みとぅ)い。
見通し: 見通(みとぅう)し。
見どころ: 見所(みどぅくる)。
みとせ(三年): 三年(さんにん)。
見届ける: 見届(みとぅどぅ)きゆん。
緑色: 青色(おおるう)。
見とれること: 目惚(みいぶ)り。
皆: 諸(むる)。皆(んな)。すうよお。
皆様: 御(ぐ)すうよお。
皆さん: すうよお。
みなしご(孤児): 親惑(うやまでぃ)い。
見なす: 見成(みいな)しゅん。
港: 泊(とぅまい)。渡口(とぅぐち)。港(んなとぅ)。 ※本部町に渡久地港がある。
とぐちは、もともと、普通名詞なのだろう。
南: 南風(ふぇえ)。午(んま)ぬ方(ふぁ)。 ※はえは、西日本一帯で、南風をあら
わす言葉で、地域によっては、南の方角も意味する。日葡辞書には、ハエノカゼとあ
る。北原白秋の詩に、南風(はえ)が吹けば、とある。
南向き: 南風向(ふぇえん)けえ。
見習い: 見習(みなれ)え。
見習う: 見習(みなら)ゆん。
身なり: 成(な)い。成(な)り風儀(ふじ)。姿(すぃがた)。すがい。
見慣れる: 見慣(みいな)りゆん。
みにくい: 嫌(や)なさん。見苦(みいぐり)しゃん。
見抜く: 目澄(みいすぃ)ましゅん。
蓑(みの): 蓑(んぬ)。 ※蓑は、ほとんど、時代劇でしか見ない。ゲゲゲの鬼太郎の
妖怪キャラクターの子泣き爺が着ているもの。
身の上: 身(み)ぬ上(うぃい)。
見逃す: 見逃(みいぬがあ)らしゅん。
見逃しておく: よおしょおちゅん。 ※日本語の、よしておく、という感じ。
美濃紙(みのがみ): 美濃紙(みぬがみ)。 ※美濃紙は、奈良時代からの伝統ある、美
濃国産出の和紙の総称。
身の毛がよだつ: 群(ぶ)り毛立(ぎいだ)ちゅん。 ※混効験集、坤巻・言語に、ぼ
ぼけたつ、とある。
身代金: 胴代(どぅしる)。胴適(どぅうがね)え。 ※どぅうしるではなく、どぅしる
のようである。
蓑虫(ミノムシ): ふくたあ虫(むし)。 ※ふくたあは、襤褸(ぼろ)のこと。
実芭蕉(みばしょう): 成(な)い苧(うう)。 ※実芭蕉は、実をつける芭蕉。
見放す: 見放(みいはな)しゅん。
身震い: 肉震(ししぶり)い。
身分: 分(ぶん)。身分(みぶん)。丈分(たきぶん)。
見本: 見本(みふん)。手本(てぃふん)。
見舞い: 見舞(みいめ)え。見舞(みめ)え。
見間違い: 見誤(みいばっぺ)え。見間違(みいまちげ)え。
見守る: 守(まん)じゅん。見守(みいまん)じゅん。打(う)ち守(まん)じゅん。
見回すこと: あま見(みい)くま見(みい)。
見回り: 見回(みいまあ)い。
見回る: 見回(みいまあ)ゆん。
耳: 耳(みみ)。
耳かき: 耳掻(みみくじ)やあ。
耳くそ: 耳糞(みみくす)。
みみず: 蚯蚓(みみじ)。
みみずく(木兎): 猫耳付(まやあじくく)。
耳たぶ: 耳皮(みみがあ)。耳(みみ)ぬ葉(ふぁあ)。耳(みみ)ぬ頬垂(ふうた)い。
耳垂(みみだれ): 耳垂(みんじゃい)。 ※耳垂は、耳から分泌物が流れ出す症状。
身持ち: 身持(みむ)ち。
宮: 神足上(かみあしゃぎ)。宮(みや)。
脈: 脈(みゃく)。脈(なあく)。
土産(みやげ): 苞(つぃとぅ)。土産(みゃあぎ)。土産(なあぎ)。 ※万葉集・44
71に、つと、とある。
都: 都(みやく)。
宮古: 宮古(みゃあく)。宮古(なあく)。 ※私の祖母は、なあく、と発音していた。
宮古の人: 宮古(なあく)う。 ※どうも、蔑称のひびきがある。使い方しだい。
見やすい: 見易(みいやっさ)ん。
宮仕え: 首里加那志召代(しゅいがなしめでい)。
見破る: 目澄(みいすぃ)ましゅん。
深山: 深山(みやま)。 ※深山は、御山とも書き、むしろ、美山と書いたほうがいいか
もしれない。山の美称語である。万葉集・3513に見える。
御世: 御世(みゆ)。
妙: 妙(みゅう)。
妙な: 異風(いふう)な。色(いる)んな。さいた。
見様: 見様(みいよお)。
茗荷(みょうが): 茗荷(みいが)。 ※みょうがは、ショウガ科ショウガ属である。い
までは、沖縄でも普通に食べられるようになった。ちなみに、月桃(げっとう)は、
ショウガ科ハナミョウガ属である。もう一つちなみに、東京地下鉄丸ノ内線に茗荷谷
という駅がある。
名字: 家(やあ)ん名(なあ)。名字(みょおじ)。名字(のおじ)。 ※みゃ・なあ、み
ょ・のおは、通音のようである。
明日(みょうにち): 明日(あちゃあ)。
明礬(みょうばん): どおさ。どおさあ。 ※混効験集、坤巻・器材に、だうさ、とある。
源氏物語葵の巻・湖月抄の註に、たうさ、とある。
明礬石: どお石(し)。
みる(海松): 海松(びいる)。
見る: 見(ぬ)うん。見(んん)じゅん。
弥勒(みろく): 弥勒(みるく)。 ※みろくは、おもろさうし・375に見える。英訳
のおもろさうしは、できるだけ簡単な英語を使うように努めたが、この語は、maitreya
という難しい語を使用した。もう一つ難しい植物名がある。私の記憶ではこの二語以
外は、高卒以上の単語力があればほとんどカバーできると思う。
弥勒会(みろくえ): 弥勒御迎(みるくうんけ)え。 ※弥勒会は、弥勒を勧請(かんじ
ょう)して祈念する法会(ほうえ)。
見分け: 見分(みいわ)き。見分(みわ)き。
見分ける: 見分(みいわ)かしゅん。見分(みいわ)きゆん。
みんな: 諸(むる)。皆(んな)。すうよお。
民謡: 歌(うた)。 ※これは、当然のことであるが、沖縄の昔の歌はすべて民謡である。
む
六日: 六日(どぅくにち)。六日(るくにち)。
向かい: 向(ん)けえ。手向(たん)かあ。上手向(じょおたん)かあ。
向かい風: 向(ん)けえ風(かじ)。
向かう: 向(ん)かゆん。
向かい合うこと: 手向(たん)かあ真向(まん)かあ。
迎える: 迎(んけ)ゆん。
無学: 無学(むがく)。無算(むさん)。
昔: 早(ふぇえ)く。昔(んかし)。 ※ふぇえくは、この前、前に、という感じ。
むかしなじみ(昔馴染み): 元触合(むとぅびれ)え。
昔話: 昔話(んかしばなし)。昔物語(んかしむぬがたい)。
昔風: 昔風儀(んかしふうじ)。
むかつく: 上吐(うぃいば)ちゅん。物吐(むぬは)ち欲(ぶ)さん。
むかつくこと: 上吐(うぃいば)ちのおり。
むかで(むかで): 百足(んかじ)。
向き: 向(ん)けえ。
麦: 麦(むじ)。
麦粉(むぎこ)。 麦(むうじ)な粉(くう)。 ※麦粉(むぎこ)は、すなわち、小麦粉
のことである。
麦こがし: 湯(ゆう)ぬ粉(く)。 ※麦こがしは、大麦を煎(い)ってこがし、臼(う
す)でひいて粉にしたもの。これに砂糖を混ぜ、湯で練ったりして食べる。
無傷: 無傷(むきじ)。
麦飯: 平(ふぃら)ん。平(ふぃら)ん飯(めえ)。 ※押し麦のことを平麦とも言う。
平麦の飯で、ふぃらんめえ、だと思う。昔の麦飯は、米と混ぜたものではなく、文字
通り、麦100%であったようだ。我が家はずっと、麦飯であるが、比率は、気分次
第である。半々のほうが好きである。
麦わら: 麦藁(むんじゅる)。
麦わら帽子: 麦藁(むうじゅる)う。
向く: 向(ん)かゆん。
剥(む): 剥(ん)ちゅん。
報い: 報(むく)い。
むくいぬ(尨犬): 尨犬(むくいん)。 ※尨犬は、毛が長くふさふさした犬。
ムクゲ(植物名): 花垣(はながち)。 ※ムクゲは、アオイ科フヨウ属。フヨウ属の花
は、一日だけ咲くと思われているがそういうことはない。いったんしぼんでまた開く
のである。
無口: 芋(んむ)ぬ口(くち)。 ※無口の人をそのようにたとえた表現である。
浮腫(むく)む: はちくぬん。腫(む)ちゅん。浮腫(むく)ぬん。湿膨(しつぃぶっ
くぃ)ゆん。
浮腫(むく)むこと: 湿持(しつぃむ)ち。
向ける: 向(ん)きゆん。
剥(む)ける: 剥(は)ぎゆん。剥(は)んきゆん。剥(ん)きゆん。
婿(むこ): 婿(むうく)。
向こう傷: 向(む)こう傷(きじ)。 ※向こう傷は、体の前面に受けた傷。
向こう臑(ずね): 空臑(からすぃに)。
向こう隣り: 上手向(じょおたんか)あ。
向こう見ず: 生気(なまちゃ)あ。生気(なまち)。
無言: 無言(むぐん)。
虫: 虫(むし)。
蒸し暑い: 湿(しぷ)たら暑(あつぃ)さん。
虫押さえ: 痩(やあ)さ直(のお)し。 ※虫は、おなかの虫の事。何か少し食べて、
空腹をまぎらすこと。
蒸し返し: 蒸(ん)ぶらし返(けえ)さあ。
蒸し菓子: 甑御菓子(くしちいうくぁあし)。 ※蒸籠(せいろう)を使ったお菓子。蒸
籠は、甑(こしき)とも言う。饅頭や軽羹(かるかん)は、蒸し菓子である。
虫食い: 入(い)り虫(むし)。虫食(むしくぇ)え。
虫食い芋: 火虫(ふぃいむしゃ)あ。入(い)り虫(むしゃ)あ。 ※火虫は、蛾のこ
とで、日本書紀に見える。虫食い芋は、虫の食ったサツマイモのことであるが、この
虫が特にどんな虫かはわからない。
虫下し: 虫薬(むしぐすい)。
虫気: 癇虫(かんむし)。虫気(むしち)。虫痩(むしよおが)り。 ※虫気は、腹痛を
伴う腹部の病気の総称。むかしは、虫が原因であると思われていた。
虫拳(むしけん): ぶうさあ。 ※虫拳は、親指と人差し指と小指を使うじゃんけんの一
種。どの指がどの指に勝つかは地方によって違うようである。
無実の罪: 逆掴(さかがつぃ)み。
虫歯: 虫歯(むしば)。虫食(むしくぇ)え歯(ばあ)。
虫眼鏡: 虫眼鏡(むしみかがん)。
無邪気なこと: 稚気(あてぃ)ってえん。
無邪気な人: 稚気無(あてぃな)し。 ※日本語の古語、あどなし、と関係があるよう
に思う。
矛盾: 逆物言(さかむに)い。
矛盾する: 離(ああ)きゆん。
無情: 無情(むじょお)。
無性に: 無性九性(むしょおくしょお)。無性(むしょお)に。無性十性(むしょおとぅ
しょお)。 ※むしょおくしょお、むしょおとぅしょおは、いわゆる、畳語の中でも、
部分畳語と呼ばれるものである。琉球語は、部分畳語が多用される。私見であるが、
中国語の影響もあると思われる。部分畳語の場合、最初の語は、意味が明確であるが、
二つ目の語は、意味不明の場合が多い。これは、単に似たような音を繰り返しただけ
であり、意味が分からないのは当然である。無性は意味が分かるが、くしょお、とぅ
しょおは、およそ、意味不明である。二つ目の畳語はだいたい、ひらがなで書くしか
ない。ここはただたんに、当て字で、九性、十性とした。おもろさうしには、部分畳
語が多用される。一つ目の意味は明確であるが、二つ目意味はおおよそ不明確である。
むしる: 毟(むし)ゆん。
筵(むしろ): 筵(むしる)。
むしろ: 返(けえ)てえ。返(けえ)てぃ。返(けえ)てぃんかい。
無神経な: 生(なま)さん。
無神経な人: 生肉(なまじし)。生肉(なまじしゃ)あ。
無尽講(むじんこう): 寄合(ゆれ)え。盛合(むえ)え。年盛合(にんむえ)え。 ※
無尽講は、相互に金銭を融通し合う目的で組織された講。
蒸す: 蒸(んぶ)しゅん。
無数の: 様様無(ざまざまあねえ)ん。 ※様様(ざまざまあ)は、無数という意味。
無いがついても同じ意味。
むずかしい: むつぃかしゃん。胴苦(どぅうぐり)しゃん。
息子: 男(うぃきが)ん子(ぐぁ)。
結び昆布: 結(むす)び昆布(くうぶ)。 ※昆布を結ぶのにも上手下手があるようで、
私が、本土で食べた結び昆布は、だいたい沖縄では下手の見本である。
むずむず: むじゅむじゅ。むずむず。むじゅるむじゅる。
娘: 姉小(あんぐぁあ)。女童(みやらび)。女童(なあらび)。若女(わかうぃなぐ)。
女(うぃなぐ)ん子(ぐぁ)。
噎(む)せる: とぅっ詰(ち)ゆん。
無駄: 徒(いたじら)。出費(しっちい)。
無駄な: 良顔無(ゆうちらあねえ)ん。
無駄なこと: 徒事(いたじらぐとぅ)。出費事(しっちいぐとぅ)。
無駄食い: があだ喰(が)み。があだ喰(ぐぇ)え。
無駄使い: いちゃんだ使(づぃけ)え。上辺使(うぁあばづぃけ)え。銭垂(じんだあ)
り。銭捨(じんすぃ)てぃ事(ぐとぅ)。
無駄骨折り: 徒(あだ)。虚難儀(んななんじ)。
鞭(むち): 鞭(ぶち)。
無茶: があま。
無賃: いちゃんだ。無賃(むちん)。只(ただ)。
むつき(襁褓): 襤褸(かこお)。 ※万葉集・892の貧窮問答歌に、かかふ、とある。
ちなみに、むつきは、おしめのことで、源氏物語・宿木巻に、御むつき、とある。
六つ: 六(むう)つぃ。
むつまじい: 触合(ふぃれ)えやっさん。
無鉄砲: 生気(なまち)。
無鉄砲な人: 生気(なまちゃ)あ。
むとせ(六年): 六年(むとぅ)。
胸毛: 胸毛(んにぎい)。
胸騒ぎ: 肝(ちむ)だくみち。肝騒(ちむさわ)じ。肝(ちむ)わさみち。
むなしい: 虚(んな)。
六七日: 六七日(むなんか)。 ※六七日は、亡くなってから41日目をいう。
胸元: 肝口(ちむぐち)。
棟門(むなもん): 家門(じゃあじょお)。 ※棟門は、二本の柱を立て、屋根のついた
門のこと。
胸: 胸(んに)。
棟(むね): 甍(いりちゃ)。棟(んに)。
胸掛け: ゆだつぃ。 ※要するに、胸から下に掛けるエプロンである。
無法: 無法(むほお)。
謀反: 野心事(やしんぐとぅ)。謀反(むほん)。 ※日本語の謀反は抽象的であるが、
琉球語の野心事はわかりやすい。
謀反人: 謀反人(むふんにん)。 ※琉球史上有名な謀反人は、護佐丸であるが、本当の
謀反人は、阿麻和利である。
むやみに: 滅多(みった)。
無用: 無用(むゆう)。
無用の長物: 真外(まあは)んだあ。
無用な物: 用事切(ゆうじゅち)り物(むん)。
無欲: 無欲(むゆく)。
村: 村(むら)。島(しま)。
群がる: 群(ぶり)ゆん。
村境: 村境(むらざけえ)。
紫: 紫(むらさち)。
ムラサキカタバミ(植物名): 屋畑草(やふぁたぐさ)。 ※もともとは、南アメリカ原
産。江戸時代後期より全国に広がる。いたるところに見られる雑草であるが、私は、
可憐な花であると思う。
村里: 島(しま)。島国(しまくに)。
村芝居: 村遊(むらあすぃ)び。
村芝居をする所: 遊(あし)び庭(なあ)。
村中: 一村(ちゅむら)。村中(むらじゅう)。
村中の集まり: 村揃(むらじゅり)い。
蒸らす: 蒸(んぶ)らしゅん。
村はずれ: 村外(むらはじ)し。
村八分: 近所払(ちんじゅばれ)え。 ※沖縄に村八分の制度があったかどうかは、わ
からない。制度はなくてもそれらしいものは、あったかもしれない。
村払い: 村払(むらばれ)え。 ※村払いは、村から追い払われることで、村がお金を
払うことではない。
村負担: 村持(むらむ)ち。
村役人: さばくい。
村役場: 村屋(むらやあ)。
無理: 無理(むり)。
無理強い: 為(しい)はっとお。
むりやり: 押(う)し押(う)し。
無力な: 齢(ゆげえ)ねえ適(かな)あん。うぃげえねえ適(かな)あん。
群れ: 群(ぶ)り。
蒸れる: 蒸(んぶ)りゆん。
め
目: 目(みい)。
芽: 芽取(みどぅ)り。
目当て: 当(あ)てぃ。目当(みや)てぃ。
姪(めい): 姪(めい)。姪子(みいっくぁ)。
銘: 銘書(みが)ち。
明暗: 明(あか)さ暗(くら)さ。
名義: 面付(みんじち)。
名義変更: 面付変(みんじちげ)え。
名所: 名所(みいしゅ)。
命数: 数(すう)。 ※命数は、命の長さ。
冥土(めいど): 後生(ぐしょお)。
命日: 命日(みいにち)。
名分(めいぶん): 分(ぶん)。
銘木: 材木(ぜえぎ)。 ※銘木は、床柱、床の間などに用いる木材。
銘々: 胴(どぅう)なあ。なあ胴胴(どぅうどぅう)。
命名: 名付(なあづぃ)きい。
名誉: 光(ふぃかり)。冥加(みょおが)。冥加(のおが)。
滅入(めい)る: 沈(しずぃ)ぬん。
命令: 言(い)い付(つぃ)き。言(い)い渡(わた)し。事付(とぅづぃ)き。
命令する: 言(い)い付(つぃ)きゆん。事付(とぅづぃ)きゆん。
牝牛: 牝牛(みいうし)。
夫婦: 夫婦(みいとぅ)。
妾(めかけ): 寄辺(ゆうべえ)。懇(にんじゅ)る。傍(すば)。傍使(すばづぃけ)え。
目籠(めかご): 目(みい)ばあらあ。 ※目籠は、物を入れて、持ったり背負ったりす
る、目を粗く編んだ竹籠(たけかご)。
目頭: 目(みい)ぬ口(くち)。
めかす: 作(ちゅく)ゆん。作(ちゅく)りゆん。
目方: 斤目(ちんみ)。
女敵(めがたき): 女敵(みがたち)。 ※日本語の女敵は、自分の妻と不倫をした男の
こと。みがたちは、恋敵と同じ意味のようである。
眼鏡: 眼鏡(がんちょお)。目鏡(みいかがん)。目眼鏡(みいがんちょお)。 ※眼鏡を
音読みにしたようである。
雌瓦(めがわら): 雌瓦(みいがあら)。 ※雌瓦は、凹面を上向きにして葺(ふ)く瓦。
目薬: 目薬(みいぐすい)。差(さ)し薬(ぐすい)。
目くばせ: 目様(みいよお)。目打(みいう)ち。
恵み: 恵(みぐ)み。
恵み深い: 肝清(ちむじゅ)らさん。
めくら(盲): 目暗(みっく)う。目暗(みっくぁ)。目暗(みっくぁ)あ。 ※「番町
で目明き盲に道を聞き」という川柳がある。現在、めくらはワープロでただちに漢字
に変換できない。
めぐらす: 巡(みぐ)らしゅん。巡(みんぐぁ)しゅん。
巡り: 巡(みぐ)い。
巡り合う: 振合(ふやわ)しゅん。
巡り合わせ: 振合(ふやわ)し。
巡る: 巡(みぐ)ゆん。巡(みんぐぃ)ゆん。
めくれる: 捲(まぐ)りゆん。
目先: 目(みい)ぬ前(めえ)。目(み)ぬ前(めえ)。
目ざまし: 目凝(みいくふぁ)やあ。 ※目ざましは、目をさまさせるもの。眠気覚ま
しとなるもの。宇津保物語にも見える。みいくふぁやあは、朝、目をさました時に食
べるお菓子のこと。私の祖母は、目強(みいちゅう)やあ、と言っていた。
目覚め: 目凝(みいくふぁ)い。
目覚める: 覚(さ)みゆん。
飯: 飯(めえ)。物(むぬ)。物(むん)。
召し上がる: 押上(うしゃが)ゆん。
目下: 目下(みした)。手下(てぃいしちゃ)。 ※目下は、地位、階級、年齢などが自
分より低いこと。会社組織などでは、いまだに存在する言葉かもしれない。韓国のテ
レビを見ていると、目下、目上という言葉がよくでてくる。
飯粒: 御盆粒(うぶんつぃじ)。
メジマグロ: 白秋(しるあち)。 ※メジマグロは、クロマグロの幼魚。クロマグロとし
て捕獲されるもののほとんどは、メジマグロである。
目じり: 目(みい)ぬ尻(つぃび)。
メジロ(鳥の名前): そおみなあ。
メジロ籠(かご): そおみなあ籠(くう)。
飯椀: 飯椀(みしわん)。
雌(めす): 雌物(みいむな)あ。雌物(みいむん)。
珍しい: 珍(ふぃるま)しゃん。珍(みんだ)しゃん。珍(みずぃら)しゃん。
めそめそ泣くこと: しぴたい泣(な)ち。撚紐泣(うぃいるうな)ち。
メダカ: 高豆(たかまあ)。高豆(たかまあみ)。高豆(たかまみ)。
目立つ: 目立(みだ)ちゅん。
目玉: 目玉(みんたま)。
めちゃくちゃ: 散々(さんざん)くんざん。座蝿(ざあふぇえ)。
鍍金(めっき)をする: ふぁあしゅん。
目付役: 横目(ゆくみ)。
めっそうな: 滅相無(みしな)あく。滅相無(みしな)たあく。滅相無(みしな)たら
あく。
滅多(めった): 滅多(みった)。
滅多に: 常(つぃに)。
雌綱(めづな): 雌綱(みいんな)。 ※雌綱は、日本国語大辞典に載っていない。沖縄
の各地で行われる綱引きは、雄綱(おづな)と雌綱を結合させて行われる。私は、小
学校の時に、名護市汀間の大綱引きに参加したことがあるが、ほんの三分ほどで決着
がついた。那覇の大綱引きは大勢の人がいるのでなかなか勝負がつかないようである
が、人が少ないとあったいう間に勝負がついてしまう。那覇の大綱引きは、引き分け
が多いようである。
めっぽう: 無性十性(むしょおとぅしょお)。
めでたいこと: 嘉例(かりい)嘉例寄(かりゆ)し。喜(ゆるく)び。
娶(めと)る: かめえゆん。尋(とぅめ)えゆん。
目の子勘定: くるばざあ。大概算明(てえげえざんみん)。 ※目の子勘定は、目で一つ
一つ声に出しながら数えること。
メバル(魚の名前): 目張(みいば)い。目張魚(みいばゆ)。
目星: 目当(みあ)てぃ。
目星を付ける: 宛(あてぃが)ゆん。
めまい(眩暈): 目眩(みいくる)がん。括(くく)てぃ眩暈(みんぐぁ)あ。括(くく)
てぃ眩暈(みんぐぃ)い。
めめしい: びたらあしゃん。
目許(めもと): 目許(みむとぅ)。
目脂(めやに): 目糞(みいくす)。
目脂(めやに)を出す人: 目糞(みいくさ)あ。
メリンス: 触(さわ)い。 ※メリンスは、毛織物の一種。多くメリノ種の羊毛で織っ
たところから。
女童(めわらべ): 女童(みやらび)。 ※めわらべは、日本国語大辞典に載っていない。
めわらわ、めらわ、めらべは載っている。
面: 半頭(はあつぃぶら)あ。 ※半頭(はつぶり)は、顔面を防禦(ぼうぎょ)する
武具の一種。保元物語に見える。
面会: 行合(うぃいちぇ)え。
免許: 許(ゆり)い。
免ずる: 眺(ながみ)ゆん。
面相: 面木目(つぃらむくみ)。面相(みんじょお)。
面倒: 面倒(みんどお)。
面倒な: あんましゃん。
面倒なこと: あんまし物(むん)。
面倒を見る: 考(かんげ)えゆん。わんだゆん。
面と向かって: 面面(つぃらじらあ)とぅ。
牝鶏: 牝鶏(みいどぅい)。
綿布(めんぷ): 西洋布(せえやんぷう)。 ※せえやんは、中国音、シーヤンより。
面目: 一分(いちぶん)。面目(みんぶく)。面目(みんむく)。
緬羊(めんよう): 緬羊(めえなあ)。緬羊羊(めえなあふぃいじゃあ)。 ※緬羊は、羊
のことらしい。
も
藻(も): 藻(むう)。
喪(も): 日内(ふぃいうち)。
も(助詞): ん。
もう: いいな。いいなぬふぇえ。なあ。なあや。なま。
もう(牛の声): んもお。
儲(もう)け: 儲(もお)き。
儲(もお)ける: 儲(もお)きゆん。為出(しいんじゃ)しゅん。
設ける: 居(い)しゆん。
孟子: 孟子(もおじ)。
申し上げる: みゅんにゅきゆん。ぬんぬきゆん。うんにゅきゆん。うんぬきゆん。
申し子: 合(え)え子(く)。 ※琉球語の、ええくは、日本語の申し子とは、かなり違
った意味のようである。胎児の時、あるいは出産の時に出会った人のどこかにその子
供が似ることを意味し、多くはあまりよくないところが似ている場合を言うようであ
る。混効験集、坤巻・言語に、あへこ、とある。
申し込み順: 先次第(さちしでえ)。
申し出る: 申(もお)し出(んじ)ゆん。
申し開き: 言(い)い開(ふぃら)ち。
申し分のない: 上分(じょおぶん)。
もうとう(毛頭): むさっとぅ。
毛髪: 毛髪(きからじ)。
毛布: きっとぅ。筵(むしん)。 ※きっとぅは、blanket(英語で毛布)の前が省略され
た形で、日本語では、ケットと言う。むしんは、たぶん、むしるが変化した形と思う。
沖縄の人は毛布のかわりに筵をかぶって寝ていたのであろう。
モウリンカ: 茉莉花(むいくぁ)。 ※モウリンカは、茉莉花(まつりか)の別名。
耄碌(もうろく): どおま。ろおま。 ※耄碌は、いわゆる認知症のことである。
燃えさし: 火切(ふぃいじ)り。焼(や)き切(じ)り。
燃え付く: てえ付(つぃ)ちゅん。
燃える: 燃(めえ)ゆん。
真岡(もおか): 真岡布(もおかふう)。 ※真岡布(もおかふう)は、真岡木綿のこと
と思われる。
捥(も)ぐ: 捥(む)じゅん。
もくげ(木槿): 花垣(はながち)。 ※もくげは、ムクゲのこと。
もぐさ(艾): ふうつぃ。
目算: 水盛(みずぃむ)い。
木炭: 炭(たん)。
目的: 趣(うむむち)。
目標: 当(あ)てぃ。
木目: 木目(むくみ)。
沐浴(もくよく): 御済(うすぃ)まし。 ※水で済ますこと。
目録: 目録(むくるく)。
もくろみ: 目論見(むくるみ)。
もくろむ: 目論(むくる)ぬん。
もし(若し): まに。むし。
もし(呼びかけ): ええ。やあ。さい。さり。たい。たり。
もしか: むしか。
文字: 文字(むじ)。字(じい)。
もしもし: ええええ。 ※電話の場合の、もしもしは、むしむし、であろう。
喪主: 位牌抱(いいふぇえだちゃ)あ。
もずく: すぃぬい。
モスリン: 触(さわ)い。 ※モスリンは、毛織物の一種。メリンスと同じ。
模造する: 似(に)しゆん。
模造品: 似(に)しい。似(に)し物(むん)。写(うつ)し。
もたげる: 擡(むちゃ)ぎゆん。
もたもた: 持(む)っちゃい引(ふぃ)っちゃい。持(む)ちょお引(ふぃ)っちょお。
手(てぃい)むちゃむちゃ。
餅(もち): 餅(むち)。
黐(もち): やん黐(むち)。 ※黐(もち)は、とりもちのこと。黐木(モチノキ)か
ら作る。これを竹の先端につけて鳥を捕獲する。
持ち上がる: 持上(むちゃ)がゆん。
持ち上げる: 引立(ふぃっちゃ)てぃゆん。持上(むちゃ)ぎゆん。
持ち方: 持(む)ち成(な)し。
持ち崩す: 持(む)ち外(は)んでぃゆん。
持ちこたえる: 忍(にじ)ゆん。
持ち込む: 持込(むちん)ちゅん。
糯米(もちごめ): 糯米(むちぐみ))。
持ち過ぎ: 持(む)ちっくぁ。
持ち通し: 持(む)ち切(ち)り。
持ち直す: くん直(のお)しゅん。持(む)ち直(のお)ゆん。持(む)ち直(のお)
しゅん。取(とぅ)い返(けえ)しゅん。
持ち運ぶ: 通合(かやあ)しゅん。
持ち分: 持(む)ち前(めえ)。為(たま)し。
持ち前: 持(む)ち前(めえ)。
持ち寄りの宴会: 抜合(ぬちゃあ)しい。
持ち寄る: 抜合(ぬちゃあ)しゅん。
もちろん: 太爾(だに)ゆ。 ※太爾は、万葉集に使われている仮名。
持つ: 持(む)ちゅん。
保(も)つ: 保(たむ)ちゅん。
もっこ: おおだあ。 ※もっこは、藁縄(わらなわ)などを網に編んだものの四隅に綱
をつけて、土・石などを盛り、棒で担(にな)って運ぶ具。おおだあは、一度も見た
ことがない人と、なつかしいと思う人の両方があると思う。
モッコク(木斛)(植物名): 木斛(いいく)。 ※モッコクは、モッコク科モッコク属の
常緑高木。庭木の王であるらしい。モッコクの柱を、いいくばあや、と言う。
もったいない: あたらしゃん。 ※もったいないは、最近話題の日本語であるが、琉球
語の、あたらしゃんは、ほぼその意味をカバーしていると思う。
もったいぶる: うんぶゆん。
もっと: ゆく。ゆくん。なあふぃん。うぬうぃい。
最も: 最(むっとぅ)ん。
もっぱら: 専(むっぱ)ら。
縺(もつ)れ: 乱(んじゃ)り。
縺(もつ)れる: 縺(むつぃ)りゆん。擬(むでぃ)くゆん。乱(んじゃ)りゆん。
もてあそぶ: 弄(いい)ゆん。弄(むた)ぶん。 ※いいゆんは、日本語の、いらう、
と関係がある語だと思う。
もてあそぶこと: 弄(むた)あんふぃたあん。
持て余し者: 余(あま)した者(むん)。汚(したね)え者(むん)。座蝿者(ざあふぇ
えむん)。
持て余す: 余(あば)ちゅん。持(む)てぃ余(あま)しゅん。持(む)てぃ分(わ)
かしゅん。
持て余すこと: 余(あば)ち直(のお)り。
持て余す仕事: 余(あば)ち仕事(しぐとぅ)。
もてなし: 御取(うとぅ)い持(む)ち。
もてなす: 取(とぅ)い持(む)ちゅん。
もと(本): 本(むとぅ)。本(むうとぅ)。
もと(元): 元(むとぅ)。元(むうとぅ)。
もどかしい: 手歯痒(てぃいはごお)さん。
もとから: 早(ふぇえ)く。
戻す: 戻(むどぅ)しゅん。
元手: 元(むとぅ)。元(むうとぅ)。
本成り: 根成(にいな)い。 ※本成りは、植物の蔓(つる)や幹の根に近いほうに実
がなること。
求める: 探(かめえ)ゆん。求(むとぅ)みゆん。尋(とぅめえ)ゆん。
元結い: 元結(むうてぃ)い。 ※元結いは、髪の髻(もとどり)を結び束ねる糸、紐
の類。
戻り: 戻(むどぅ)い。
悖(もと)る: 悖(むどぅ)ちゅん。
もどろく: 斑(むどぅる)ちゅん。 ※もどろくは、まだらになること。おもろさうし・
830の、あけもとろの、もとろは、もともとは、まだらのことである。
物: 物(むぬ)。物(むん)。
者: 者(むぬ)。者(むん)。
物忌(ものい)み: 慎(つぃつぃ)しみ。
物忌みをする」 慎(つぃつぃし)ぬん。
物入り: 要(い)り目(み)。物要(むぬい)り。物要(むぬい)り目(み)。出費(し
ちい)。
物怖じ: 物怖(むぬう)じ。
物惜しみする: 燻(いび)りゆん。 ※いびりゆんは、日本語の、いびる、と関係があ
ると思う。いびるは、日本各地で違った意味に用いられるようである。東北地方の一
部では、するめなどを焼くこと。茨城県・埼玉県・神奈川県・静岡県の一部では、油
で炒めること。群馬県・長野県・山梨県・大分県の一部では、いじること。山梨県の
一部では、手入れをすること。などである。
物音: 物音(むぬうとぅ)。
物覚え: 物覚(むぬう)び。
物思い: 物思(むぬうみ)い。
物思いに沈む: 物思(むぬうみ)いぎさん。
物語: 言話(いふぁなし)。昔物語(んかしむぬがたい)。
ものぐさ: 尻尖(つぃびとぅが)やあ。不用(ふゆう)。
物乞(ものご)いをすること: 物乞(むぬくう)い。
物乞(ものご)いをする人: 物乞(むぬくう)やあ。
物寂しい: 肝為枯(ちむしからあ)しゃん。
物寂しく: 蕭条(そおぞお)とぅ。
物知り: 物知(むぬし)り。 ※物しりは、おもろさうし・5に見える。仲吉本原文で
は、めずらしく、物という漢字が使われている。
物知り顔な口のきき方: 臭物言(くさむに)い。臭物言(くさむぬい)い。
物知り顔にふるまう: 臭膨(くさぶっくぃ)ゆん。
物好き: 物好(むぬじ)ち。物好(むんじ)ち。
ものすごい: よお悍(うすま)しゃん。悍(うすま)しゃん。 ※日本語の悍(おぞ)
ましいと関係があると思う。源氏物語、大鏡に見える言葉である。
物欲しそうな: 物欲(むぬふ)しゃぎさん。
物見: 物見(むぬみ)。
ものもらい(麦粒腫): 目弄(みいいんで)え。 ※麦粒腫は、目の縁にできる腫(は)
れ物。ものもらいは、人からもらったものであると勘違いしている人がいるが、これ
は伝染はしない。ものもらいのもともとの意味は、乞食のことである。この腫れ物が
出来た人は、乞食の体に触れると直るという迷信があり、腫れ物自体も、ものもらい、
と言うようになったそうである。
物忘れ: 物忘(むぬわ)すぃ。物忘(むんわ)すぃ。
物笑い: 物笑(むぬわれ)え。
もはや: なあや。にゃあ。にゃあや。
喪服: 芭蕉着物(ばしゃじん)。 ※染めていない芭蕉の着物は喪服のみに用いた。韓国
の時代劇を見ていると、ばしゃじんと似たような喪服を着ていた。
籾(もみ): 籾(むみ)。
籾殻(もみがら): 虚殻(んなげえ)。
もみくちゃ: つぃくなあむくなあ。むんなく。むんなくくぁんなく。むんなくぁんな。
もみ消す: 擦(すぃ)り消(ちゃあ)しゅん。
紅葉(もみじ): 紅葉(むみじ)。
揉(も)む: 揉(みみ)じゅん。揉(む)ぬん。
もめごと: 揉(む)み事(ぐとぅ)。難渋(なんじゅう)。難渋(なんじゅう)ふぃんじ
ゅう。
揉(も)める: 揉(む)ぬん。
木綿(もめん): 木綿(むみん)。
木綿の布: 真岡布(もおかふう)。西洋布(せえやんぷう)。 ※せえやんは、中国音、
シーヤンより。
桃: 毛桃(きいむむ)。 ※ももは、もともと、ヤマモモのことで、桃太郎の桃は、中国
伝来のものである。万葉集で、もも、と言えば山桃のことであり、ピーチのことは、
毛桃と言っていた。万葉集・1358、1889に、毛桃とある。
股(もも): 股(むむ)。
桃色: ぶき。ぶき色(いる)。 ※ぶきは、おそらく、何かの花の名前と思われるがよく
わからない。
股引(ももひき): 股抜(むむぬ)ち。 ※股引は、主として股の部分をおおう男子用の
下ばき。ぱっちとも言う。ぱっちは韓国語らしい。股引は肌に密着しており、ステテ
コは、ゆったりとしていて、だいたい膝までの長さである。沖縄の人はあまりはかな
いと思うが、寒い日本本土では冬に男の人の股引はごくふつうである。冬の寒い京都
で、ズボンだけのままでいると、「股引もはかないで大丈夫か」と言われたことがある。
もやし: 豆菜(まあみな)。萌(うや)し。
もやしの炒め物: 豆菜(まあみな)ちゃんぷるう。 ※もやしと、豆腐が入っていれば、
あとは何でもいいようである。
燃やす: 燃(めえ)しゅん。
模様: 模様(むよお)。縞(しま)。
催し: 催(むゆう)し。
催し物: 催(むゆう)し物(むん)。
催す: 催(むゆう)しゅん。
最寄り: 最寄(むゆ)い。
貰(もら)い子: 貰(いい)いん子(ぐぁ)。貰(いい)りん子(ぐぁ)。 ※貰い子は、
ほとんど死語のようである。今は、養子と言う。
貰(もら)い乳: 乞(くう)い乳(ぢい)。御添乳(うすぃいぢい)。 ※これも死語だ
と思う。
貰(もら)い物: 貰(いい)い物(むん)。
貰(もら)う: 貰(いい)ゆん。
銛(もり): 研矢(とぅじゃ)。
守り: 守(む)い。
盛り上がる: 栄立(はっちゃてぃ)ゆん。盛上(むやが)ゆん。興(うくり)ゆん。
もりか(植物名): 茉莉花(むいくぁ)。 ※もりかは、茉莉花(まつりか)のこと。
もりかの花: 茉莉花(むいくばな)。
盛り菓子: 盛(む)い御菓子(うくぁあし)。 ※盛り菓子は、三方に山形に盛って神仏
に供える菓子。
盛り立てる: 盛(む)い立(た)てぃゆん。
守(も)り役: 役(やか)あ。役(やか)あ小(ぐぁあ)。守(む)い。守(む)い役(や
く)。 ※やかあは、上流家庭の男の子の世話をする人。
漏る: 漏(む)ゆん。
盛る: 盛(む)ゆん。
守る: 守(む)ゆん。
漏れる: 漏(む)りゆん。
もろい(脆い): さくさん。
もろこし: 唐(とお)ぬ黍(ちん)。
諸共(もろとも): 諸共(むるとぅむ)。
諸白(もろはく): 諸白(むるはく)。諸白(むるふぁく)。 ※諸白は、よく精白した白
米を用いた麹(こうじ)と蒸米で醸(かも)した酒。
もろ肌脱ぎ: 腰剥(くしは)じい。 ※もろ肌脱ぎは、着物から両方の肩を脱いで上半
身をあらわにすること。
醪(もろみ): 醪(むるん)。 ※醪は、醸造してまだ糟(かす)をこしてない酒。
門: 門(むん)。門(じょお)。
紋(もん): 紋(むん)。
悶着(もんちゃく): 悶着(むんちゃく)。
紋付(もんつき): 紋付(むんつぃ)き。
紋羽(もんぱ): 紋羽(むんぱ)。 ※紋羽は、綿布の一種。多くは、肌着や足袋裏や帯芯(おびしん)に用いられた。
門番: 門番(むんばん)。門番(じょおばあん)。
匁(もんめ): 文目(むんみ)。 ※匁は重さの単位。銭一文の重さが一匁。およそ、3.7
5g。現在の五円玉の重さは、ちょうど一匁である。花いちもんめという子供の遊び
がある。花は紅花(べにばな)のことで、紅花一匁は、金一匁と同じ値段だったそう
だ。
文盲(もんもう): 明(あ)き目暗(みっくぁあ)。 ※あきみっくぁあ同様に、文盲と
いう言葉も使われないようである。少し前までは、文盲率などと言っていたのが、現
在は、識字率と言うようである。